普段のツアーとは違う緊張感が漂っていた。

 7月24日に兵庫・チェリーヒルズゴルフクラブ(GC)で開幕した女子ゴルフの最終プロテスト。第1日から1打、1打に一喜一憂する「プロの卵」たちの姿を見ることができた。

 来年度から受験資格が18歳から、高校在学中にあたる17歳に引き下げになることで競争が激化する。さらにツアー出場権をかけたQT(予選会)には、単年登録選手は出場できなくなり、プロテスト合格者やレギュラーツアー優勝者らが対象となるLPGA会員に限定される。これまでのように、プロテストに合格しなくても賞金を稼ぐことは、事実上できなくなる。駆け込み合格を目指した真夏の“受験”が、幕を開けた。

 3度目挑戦の林菜乃子(21)は、4アンダーの8位で第1ラウンドを終えた。初挑戦の16年は、わずか1打及ばずに涙をのんだ。その年末のQTで51位に入り、昨年はレギュラーツアーにフル参戦したが、18戦で予選突破したのは1度だけ。1年間で獲得した賞金は、わずか24万円だった。

 「あっという間に環境だけが変わって、それに付いていけない自分がいました。レベルアップしないといけなかったです」

 下部ツアーを主戦場とする今季、林は10試合でトップ10入りが3度。自信をつけて、今回の最終プロテストに臨んでいる。

 5アンダーの5位で発進した丹萌乃(もえの、21)は、4度目のプロテスト挑戦になる。林と同様に、初挑戦の15年はたった1打及ばずに合格を逃している。

 「最終日の最終ホール。これを入れないと合格できないと焦って、3パットをしてしまいました。結果だけを見たら、その最終ホールの3パットですけど。でも4日間で、足りなかった1打を補えたところはあったはず。その次の年は全然で、去年は3打足りなかった。毎年、通ると思っているんですけどね。こんなに長引くとは思ってもいませんでした」

 たった1打、されど1打…。4日間、72ホールの1打が、人生を左右する。

 黄金世代の1人である大里桃子(19)もまた、昨年、1打足りずに不合格になっている。その悔しさを糧にして、4アンダーの8位でスタートした。ちょうど1年前、大里と同じ通算1アンダーの23位で不合格になっていた三浦桃香(19)は、今回の最終テストに進めなかった。

 今回の出場103人の中で唯一、賞金シード権を持つ三ケ島かな(22)は、こう漏らした。

 「ものすごく緊張しました。ツアーのティーショットよりも緊張した。この4日間は入ってくるもの(雑音)を全てシャットアウトしています。届いたLINEのメールも開いていない。気合ですよ、気合。弱音なんか吐いている場合じゃないですもん」

 2次予選(B地区)を首位通過し6月のステップアップツアー、スカイレディース・ABC杯でプロ初優勝を飾った河本結(19)も、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 「この場に立つまでに結果は決まっていると思うんです。自分を信じて、今までやってきたことを出せば、結果はついてくるはず」

 真夏の4日間。1打を巡る自分との戦い。

 どんなドラマが待っているのだろうか。【益子浩一】