ただ、きれいなだけではなかった。彼女の生き方も、なかなか魅力的だった。

11月27日から4日間、兵庫・東急グランドオークGCで行われたファイナルQT(最終予選会)を取材した。来季の国内女子ゴルフツアー出場権をかけ、102人が参加した真剣勝負。会場を彩ったのは、日本ツアー初参戦を目指す韓国の“次世代セクシークイーン”こと、ユ・ヒョンジュ(24)だった。

172センチの長身でさらりと伸ばした金髪。ゴルフウエアから私服に着替えると、まるで映画から飛び出してきた女優のようだった。

24歳にして、今年から韓国の明知大学に入学した。その理由を問うと、真っすぐ背筋を伸ばして答えた。

「高校を卒業する時には、大学に行く必要があるとは思っていなかったんです。でも、今になって、やっぱり学ぶ必要があると、考えが変わって、大学に行くことにしました。プロゴルファーと両立するのは簡単ではないけれど、入った以上はなるべく両立したいと思います」

韓国では主に下部ツアーに出場してきたという。現時点では、実力よりも、その美しい容姿の方が注目されているのかも知れない。ただ、彼女の生真面目さと、ゴルフと真剣に向き合う姿勢はひしひしと伝わってきた。

今回、日本ツアー参戦への第1歩となるQTへの出場は、悩んだ末のものだった。韓国ツアーのQTと日程が重なり、どちらかを選択しなければいけなかったから。だが、日本ツアーは来年のQTから出場資格がLPGA会員に限定されるため、海外選手にとっては門が狭くなる。自らの意思で、日本挑戦を決めた。

「来年からルールが変わるので(正規会員)資格を取らないといけなくなる。チャンスがあるうちに日本でやりたい気持ちがありました。私は幼稚園の頃から、着る服も全て自分で決めていたんです。だから、ゴルフ人生や、自分の生き方も、全て自分で責任を持って決めています」

第3QT(11月20~22日)はA地区(静岡・葛城GC宇刈C)を7位で突破。続くファイナルQTも、第3日まではレギュラーツアー出場圏内(40位前後まで)となる22位に奮闘していた。残るはあと1日、18ホールだった。ほぼ手中にしていたはずの日本ツアー出場権は、まさか、最終日に76と崩れ、59位で全日程を終えた。

それでも来季の国内下部ツアー(ステップアップ)出場権は、年間を通じて手にした。伸び盛りの実力と、ギャラリーを引き付ける魅力を兼ね備えていることから、最大8試合あるレギュラーツアーの推薦出場権も舞い込む可能性がある。

「日本の試合に出ることを、前向きに考えたい。今の自分のそのままの姿を、見てほしいと思います」

もちろんプロである以上は「強い」が大前提。だが、「強く美しい」ことも必要ではないだろうか。来年、日本ツアーに舞い込むであろう新風に期待している。【益子浩一】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)