宮里藍はさすがやなあ。熱戦展開中の全英リコー女子オープン。第2ラウンド、1ボギーだけで後は全部パーの73でっせ。先週まで3戦連続予選落ちをしてたんが、ウソみたいな粘っこさやがな。

 メジャー出場39回目。3位3回を最高にトップ10が10回。全米女子プロに勝った樋口久子さん、2位が6回(トップ10は21回!)もある岡本綾子さんはさておき、現在、世界における日本女子ゴルフ界の第一人者なんは間違いない。

 「うれしい。この舞台で、日本人も普通に戦えるんです。決勝に誰もいないより、日本人の名前があるとうれしいですよ」。

 これ、3週前の全米女子オープンのコメントです。自分は予選落ちしたのに、横峯さくら、森田理香子、成田美寿々、アマチュアの橋本千里が決勝進出したことを喜んでた。世界で戦う意味、責任…。さまざまな思いが強みとなって「ゴルファー宮里藍」を形作ってるんでしょうな。

 さて、そんな宮里と対極的な強みを感じさせるプロもいます。

 横峯さくら。

 以下、同じ全米女子オープンでの一幕です。

 「横峯さんにとって、全米女子オープンって、どんな意味を持つんですか?」

 「う~ん、そうですね。子どものころからテレビで見ていて、とても大きな大会だと…」

 「じゃあ印象に残ってる選手とか、シーンってあります?」

 「う~ん、そうですね。『全米女子オープン』っていう名前が…『すごいんだな』と」

 「はあ…名前ねえ…」

 その時、思った。きっとテレビ中継は見てなかった、いや、ちゃんと見てなかったと。だから全米女子オープンの日本人最高位が岡本さんの2位なんて、まず間違いなく知らんやろな。彼女は決してウソをつこうと思ったわけやなく、私らメディアに気をつこてくれた結果が、そういう答えになったと思います。

 そんな彼女が7位になりました。

 さくらちゃんの強みの1つは“ノー感さ”と思う。話を聞いていて「メジャーだから」という力みや畏怖を全然感じへん。全力でプレーしてるのはわかるけど、それは仕事に頑張るプロって感じで。きっちりノルマをこなす職人とでも言うたらええんか。

 昔、2人のトッププロに意外な“告白”を聞いたことがある。

 永久シード選手の不動裕理は「ゴルフは別に好きじゃないです。仕事です」と言うてた。

 日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長も「そんなにゴルフ好きじゃないのよね。本当は筑波大に行って、もっとソフトボールしたかったの」と言うてた。

 ともに10年以上前の話で、2人は今ではすっかりゴルフ好きになってるけど、そういうプロゴルファーは確かにおる。さくらちゃんは2人とちょっと違うけど、良くも悪くも“そんなにゴルフ好きじゃないプロ”なんやないかな。

 77年全米女子プロの樋口さんに続く、日本勢で2人目のメジャーウイナーは、誰になるんか? それが恋い焦がれ、追い求める藍ちゃんならええのにと思いつつ、さくらちゃんみたいなタイプがさらっとやってもたりして…と思ったりもする今日この頃です。【加藤裕一】