野球をはじめサッカーでもなんでも「スポーツは生に限る」。スポーツほど、結果がわかってから見るのがつまらないものはない。ゴルフももちろんそうだ。

 少し前の話になるが、6日最終日の男子ツアー「長嶋茂雄招待 セガサミー・カップ」で、石川遼が1年8カ月ぶりに勝ち、大いに盛り上がった。私は北海道への出番はなく、この日はテレビ観戦を決め込んだ。いっさい速報などを見ないで、午後3時30分から1時間30分の中継を「生のつもり」で見入った。石川遼と小田孔明のマッチプレーのような戦いで力が入った。

 しかし、18番にきたとき時計はまだ同4時30分くらいだった。「ははん、1打負けている石川が追いついて、プレーオフになるな」。ゴルフ中継をよく見る賢明? な視聴者なら容易に察しがつく。よくあるパターンだ。案の定、石川がバーディーで追いつき、プレーオフ3ホール目で小田のパーに対して、石川がバーディーを奪い決着がついた。これはこれで、まったく結果を知らずに見たので、面白かったが、プレーオフに突入すること、プレーオフの1、2ホールはダイジェストでしか見られないなど、やはり物足りないものはあった。

 これが、すべて生中継だったら、どんなに面白かっただろうか。これから何が起こるかわからない、ワクワクドキドキがスポーツはたまらないのだ。このあと、ゴルフ仲間と「やっぱりビールとゴルフは生でないとあかん」と盛り上がってしまった。

 その点、日本時間17日夜から始まる全英オープンはテレビ朝日系列で生中継されている。英国と日本の時差は通常9時間。現在は夏時間なので8時間の時差。つまり、英国が午後3時なら日本は午後11時。大会の佳境を深夜に見られるのである。ティーグラウンドにある時計がよく映るので注意しておいてほしい。時計が午後4時をさして、自分の家の時計をみて、ちょうど午前0時なら、まさしくライブだ。

 1999年、カーヌスティーGLで行われた大会で、「バンデベルデの悲劇」を見てしまった。小川に打ち込んで、無理にウオーターショットをしようとするバンデベルデに「やめとけ、まだプレーオフがあるぞ」とテレビに思わず突っ込みを入れてしまったのは月曜日の未明だった。今年の舞台のロイヤルリバプールGCで行われた06年。タイガー・ウッズが、最愛の父を亡くし、6月の全米オープンに失意の予選落ちのあと、この全英オープンに勝った。その瞬間を見て思わずもらい泣きした時も、外は明るくなっていた。

 今年はどんなドラマが起こるか楽しみだ。これもライブならではだろう。日本の男女ツアーも、この4大メジャーのように生中継で見られる日がいつの日にかくることを祈っているのだが…。【町野直人】