ちまたに出回っているゴルフのセオリーを疑え! タケ小山(53)の毎週火曜日の好評連載「タケ小山のゴルフ即効薬~今週の処方箋」。今週は日本のゴルフレッスンの“常識”をぶち破ります。テーマは「腕はエンジン、腰はハンドル」。さあ、今までの“常識”を疑ってかかりましょう。


腕を振れ!
腕を振れ!

 火曜日朝からゴルフにどっぷり、駅で素振りをしてしまいそうなアナタ。これまで、ゴルフ雑誌やDVDなどのレッスンで「ボールを飛ばすためには腰を切れ」って“洗脳”されてきませんでしたか?

 でもね、違うんです。僕も最初はびっくりしました。1990年、米国に行って、全米トップ100にランクインされたスイングコーチ、リナ・リッツェンの門をたたいた時のこと。最初に言われたのが「タケ、ブリング・ユア・アーム!(Bring your arm!)」。「腕を振れ」ってことだったんです。いわゆるボディーターンとは、まったく逆。腰はそのまま、腕を振れ、ですから。

 スライスが出る方のほとんどは、実は振り遅れなんです。そういう方にぜひ、トライして欲しいのがこのリナの教え「Bring your arm!」です。



 手打ちを恐れている人が多いようですが、それとはちょっと違います。どんなに体が回っても、腕は体を追い越していかなければなりません。フィニッシュがどうなっているか考えてください。ねっ!? みんな、体を回すことばかり考えて、そこをおろそかにしているんです。体を追い越すように腕を積極的に振ってみてください。そうすれば振り遅れはなくなります。

 プロのスイングをよく見てください。体は回っているかもしれないけれど、下半身はしっかりと安定している。そうでなければボールはどこに飛んでいくかわかりません。つまり、下半身(腰)はボールの方向性を決めるハンドルなんです。

 そして、実際にボールを打つクラブヘッドがインパクトで戻ってくるように、腕もしっかり使っています。体から離れて動くクラブの中でも先端にあって、一番動くクラブヘッドは、どんなに体を回しても、腕を振らなければ速く動かないからです。だから、腕はエンジン。思い切り振る、簡単な理屈です。

 体の回転だけではいいタイミングでインパクトを迎えることはできません。そう。振り遅れるからです。当然ですね。だから「Bring your arm!」なんです。クラブを振るのはエンジンである腕。腰はハンドル! これ、絶対に忘れないでくださいね。振り遅れがてきめんになくなりますよ。これまでの常識なんか忘れて、頭を柔軟にしてやってみてください。


今週の処方箋

腕をもっと振るべし! 振ってみい!

【服用法】常に頭を柔らかくして、理にかなったものを実践しましょう。クラブを振るのは腕なんですよ~。


 ◆タケ小山(こやま)本名小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。


◆協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)

◆取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

◆撮影 山崎安昭