石川遼(17=パナソニック)が挑むマスターズ開幕(4月9日、オーガスタナショナルGC)まで約1カ月に迫った。日刊スポーツでは4日から、各界著名人が石川へ激励、期待、アドバイスなど熱いエールを送る「遼くんへの伝言」。
第3回 スマートな振る舞いが印象/川淵三郎氏
遼くんとは昨年7月1日のUBS日本ツアー選手権(茨城・宍戸ヒルズCC)のプロアマで会ったことがある。ラウンド後のクラブハウスで、報道陣が彼を私のところに連れてきた。ちょうど遼くんは風邪をひいて体調が悪そうでね。「なにも私なんかに会いたくないだろうに。体調も悪いのにかわいそうだ」と内心思っていた。当時まだ16歳。不機嫌そうに振る舞っても不思議ではない。それが「僕もサッカーが大好きなんです」とさわやかに答えた。実にびっくりした。
礼儀正しいと感じたのはもちろんだが、そのスマートな振る舞いがとても印象的だった。その場に応じた受け答えというのは難しい。さらにマスコミの前でどういう受け答えをすればいいかを瞬時に判断するのは大人でもできない人が大勢いる。だが彼は突然の場面にも、少しも戸惑ったそぶりをみせなかった。私はそれが非常に心に残った。
サッカー界ではカズ(三浦知良)やゴン(中山雅史)のコメントに光るものを感じていた。選手としてサッカー界を考え、それでいて個性のある言葉。私は誇りに思っている。ただ、それはカズたちがある程度の年齢になってからのことだ。遼くんはまだ高校生。なのにカズ、ゴンにひけをとらない。プレーの出来不出来にコメントが乱れることもない。初々しく、自然にアピールできるところが素晴らしい。
人を引きつける言葉を持っているというのは、天性のものだ。ご両親の育て方もあるのだろうが、希有な存在として、彼の今後を楽しみにしている。
肝心のゴルフの話になるが、マスターズでも彼の思いきったプレーが、全米のファンを魅了すると思っている。確かにあのコースは難しい。私もラウンドしたことがあるが、特にグリーンが難しい。彼はパットがうまくて、1、2メートルのパットもためらいもなく、ポーンと打つ。なかなかできないことだと思う。その彼でもあのグリーンには苦戦するだろう。でもきっと彼は刻んだりしないだろう。けれんみなくチャレンジして80をたたいても、むしろ遼くんらしくていい。好印象を世界のゴルフファンに与えることができると思う。
予選落ちするだろうな。でも、それでもいいと思うよ。あらためて言うけど、遼くんが日本での初々しさのまま、全力でマスターズに挑む姿こそが、見ているすべての人になにがしかの感情を与える。私は彼のプレー、そして振る舞いを本当に楽しみにしている。
◆川淵三郎(かわぶち・さぶろう)1936年(昭11)12月3日、大阪・高石市生まれ。早大から古河電工に入社し、64年の東京五輪に出場、72年に現役を引退した。古河電工、日本代表監督を歴任し、91年にJリーグ初代チェアマンに就任。02年には日本協会会長となり3期6年務めた。昨年7月から同協会名誉会長。現在、日本サッカーミュージアム館長も兼務。
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