石川遼(17=パナソニック)が挑むマスターズ開幕(4月9日、オーガスタナショナルGC)まで約1カ月に迫った。日刊スポーツでは4日から、各界著名人が石川へ激励、期待、アドバイスなど熱いエールを送る「遼くんへの伝言」。
第10回 あの優勝は必然だった/「ハニカミ王子」命名の多賀公人アナ
世間は「ハニカミ王子」の命名者と言ってくれますが、瀬戸内海放送という地方局のただのアナウンサー。ただのラッキーなおじさんです。07年の流行語大賞授賞式で、司会者の方は「実況アナウンサーが中継で何度も連呼した」と言っていましたが、1度しか使っていませんし…。
なぜ「ハニカミ王子」だったのか。07年5月、15歳8カ月の遼クンが世界最年少ツアー優勝を達成したマンシングウェアオープンKSBカップで実況した時、彼について予備知識はゼロでした。ツアー初出場。主催者推薦で滑り込んだ形だったので、大会パンフレットには顔写真もない。悪天候の影響で決勝36ホールを一気に行った最終日、残り9ホールで首位と2打差。放送開始が迫る中、レポーターの羽川豊プロと「まさか…ないですよね」と話していたものの、怖くなって。顔も知らないんですから。10番ホールのティーグラウンドへ走りました。
ちょうど同組の立山光広プロが、ギャラリーに「こんなすごい少年がいる」と紹介していた。手を挙げさせられ、赤い顔でうつむく姿。「かわいいな」と思った。恥じらいというより、はにかんでいるように見えた。その第一印象が「石川遼」のすべてでした。
遼クンが優勝して、放送終了まで残り5分。クラブハウス横のテラスでインタビューが始まった。熱狂するギャラリーに囲まれ、インタビュアーも興奮気味だった。あと1分…25秒…。「石川選手! おめでとう!」。放送席から強引に割り込みました。
「(開催コース)東児が丘で奇跡を起こした、笑顔が素敵なハニカミ王子でした」。
…で、放送終了。歴史的な日に放送事故を起こしてはいけない。その一心で生まれた言葉が「ハニカミ王子」でした。
遼クンには、迷いを感じないんです。昨年のマンシングウェアオープンKSBカップで会った時、そう感じました。プロになった覚悟なのか。僕らは迷って生きてるじゃないですか? 本当にこの仕事で良かったのか、とか。そんなものを全く感じさせない。
マスターズに行くという事にしても、敷かれたレールが、まるで最初からそこにあったみたいですよね。欧州でガルシアが「神の子」と言われたように、そんな存在として送り込まれてきたんじゃないか、あの優勝は偶然ではなく、必然だったんじゃないか…と感じてしまいます。
遼クン。マスターズへ、世界の舞台へ、みんなの思いを、ポケットに入れていってくれませんか。みんな、彼が好きなんですよ。プレースタイル、受け答え、笑顔、白い歯…。女性はもちろん、男性が見ても全く嫌みを感じさせない。そんな人間、ちょっといません。あの大会に関わった人は、本当に家族のような気持ちで応援しています。だから、一緒に夢を追いかけさせてください。
◆多賀公人(たが・きみと)1963年(昭38)4月17日、岡山県玉野市生まれ。同市にマンシングウェアオープンKSB杯開催コース東児が丘マリンヒルズGCがある。青学大卒。88年に瀬戸内海放送入社。アナウンサー兼プロデューサーとして報道制作ユニット所属。情報バラエティー番組「最強! ドリーム百貨店」(岡山、香川で放送中)の司会者。「ハニカミ王子」が07年流行語大賞。ゴルフの腕前は過去最高のハンディが21。
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