<男子ゴルフ:ミズノオープンよみうりクラシック>◇最終日◇28日◇兵庫・よみうりCC(7230ヤード、パー72)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 石川遼(17=パナソニック)が、「異次元ゴルフ」で今季初優勝と全英オープン出場権を勝ち取った。単独首位で出て、12番パー4でOB2発の「9」と大たたきも、攻めの姿勢を崩さず、16番パー5で奇跡的なチップインイーグルを呼び込んだ。山あり谷ありの「石川遼劇場」。結局73で回り、通算13アンダーの275で逃げ切り勝ちで、ツアー通算3勝目をつかんだ。初めて自力でメジャーの出場権を獲得。胸を張ってゴルフの聖地に乗り込んでいく。

 ハラハラドキドキの「石川劇場」だった。順調に滑り出し、独走状態に持ち込んで、2位に5打差で12番パー4を迎えると、突然ドライバーが乱れた。「気付かないところで疲労がきていたのかも」。下半身が止まってフックが出た。左OB2発。パー4で自己ワーストタイの「9」に「頭が真っ白になった」。5打の貯金を吐き出した。

 ここからが石川の真骨頂だ。「ギャラリーの方が『ドンマイ』と声をかけてくれた。マイナスイメージが働いていたが、帳消しにしてくれた」。続く13番パー3のティーでは加藤キャディーに「やっちゃった」と照れ笑いを浮かべるほど、気持ちはリセットされていた。2日目には池ポチャ、同組で1人前に打った金亨成も池に入れた。定石なら池に近い左端のピンではなく、手堅く右を狙う場面。石川は「何となく自信があった」と本能に従い、ピンを狙った。

 球は池を越えピン右3メートルへ。バーディーならずも、攻めの姿勢は勝利の女神に伝わった。16番パー5ではミラクルショットが生まれた。右ラフから残り30ヤードの第3打が、グリーンを転がり、ピンに当たってカップに消えた。「あのスピードでピンを外したらグリーンを出てしまう。人ごとのようだった」。後続を3打差に引き離すチップインイーグルに、自分でも驚き、天を見上げた。

 「山あり谷ありだったけど、充実のラウンド。ものすごく幸せ」。4月マスターズで予選落ちし、今季ここまで日本ツアーはで29位が最高位。「もっと期待に応えたくて焦りはあった」と初めて明かした。マスターズから帰国後、練習を休んだ日はなかった。「ひたすら球を打ち、疲れても体をいじめ抜いた」と苦しかった日々を振り返る。

 過去のツアー2勝も、劇的で常識破りな勝ち方だった。その「異次元ゴルフ」が石川の魅力だ。さらに今回は、3日目の時点で小田孔ら先輩プロらに「優勝は遼」と言わしめる威圧感も加わった。左右にOBが迫る狭いコースをドライバーで攻め、ねじ伏せた。

 推薦枠出場でのマスターズ、全米プロと違い、自力で全英オープン(7月16日開幕、ターンベリー)の出場権をもぎ取った。日本選手として全英では最年少出場、17歳で同一年メジャー3大会に出場する。「ゴルフの聖地にいけることで興奮している。勝ち取ったという誇りを持っていい」。つかんだ手応えは一段と大きい。【阿部健吾】