<男子ゴルフ:サン・クロレラクラシック>◇3日目◇1日◇北海道・小樽CC(7535ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 石川遼(17=パナソニック)がツアー初の完全優勝に王手をかけた。5バーディー、4ボギーの71で回って通算12アンダーの204として、初日からの単独首位を守った。これまでは勢いや若さばかりが目立っていたが、16番で池ポチャから冷静にボギーにおさめるなど、今大会は平常心を保った「大人の遼」を印象付けている。逃げ切り勝ちで今季2勝目(ツアー通算4勝目)とすれば、国内の賞金ランクもトップに浮上。日本ツアーの代表として、堂々と今季メジャー最終戦・全米プロ選手権(13日開幕、ヘーゼルティン・ナショナルGC)に挑める。

 17歳のどこにも死角がない。初日から首位を走る石川に重圧はうかがえない。一時はジョーンズに並ばれたが、13番パー5のバーディーで、再び単独首位に立つ。この日も飛距離を生かせる4個のパー5ですべてバーディーを奪った。その後は自滅するライバルたちにも助けられ、2位山下に2打差をつけた。

 今大会は精神的な落ち着きが際立つ。16番パー4で第2打を池に入れた場面でも、「どう自分の気持ちを抑えるか。いらつきはあったが、切り替えた」。第4打でピンそば3メートルにつけてナイスボギーと、最小限のダメージで乗り切った。昨年初日に同じ池に入れ、ダブルボギーとしたのとは対照的だ。パットがカップに嫌われる場面も3度あったが、「1打1打に嘆いたり、悔しがったり、というのはない」と平常心を強調する言葉が増えている。

 そんな息子の成長を、普段は厳しい父勝美氏も感じ取っている。「上出来です。過去の優勝の成功体験が生きている。『オレが勝つんだ』と自己暗示をかけられるようになった。僕とは違う次元にいる」。1人のトッププロとして認めるようにうなずいた。二人三脚でゴルフの道を追求してきたが、「最近はゴルフの話をしなくなった」という。前夜も話題の中心は、自民党と民主党のマニフェストの違いについて。「プレーしている人と、遠くで見ている人は違う。自分はスイングの軸を見て(確認して)いるだけ」。鬼コーチと生徒の父子関係に変化が起きている。

 ゴルフではそんな「大人の遼」をのぞかせる一方で、生活面は「健全な高校生」だ。普段は睡眠7~8時間だが、前週からの北海道滞在中は約12時間も寝ている。先輩プロらには誘惑も多い札幌ススキノも無縁。宿泊先では「ほとんど何もしません」と、マッサージ、食事、入浴の後、午後8時には寝室に入る。過密日程の中でも元気いっぱいの大きな要因だ。

 「シンプルに考えて、優勝に一番近いのは僕と思っている」。優勝して賞金3000万円を獲得すると、国内賞金ランクではトップに立つ。海外獲得賞金を含めた事実上の賞金ランクでも、片山が16位以下ならトップに浮上する。賞金王も夢ではない。2週間後の全米プロにも、日本ツアーの代表として堂々と乗り込める。新しい希望が膨らむ大きな今季2勝目は、もう目の前まで迫っている。【田口潤】