<男子ゴルフ:フジサンケイクラシック>◇3日目◇5日◇山梨・富士桜CC(7397ヤード、パー71)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)
石川遼(17=パナソニック)が「大人」になった。1イーグル、5バーディー、4ボギーの68で回り、通算11アンダーの202で2日目からの首位を守った。今季ツアー最多の7個目のイーグルなどで、3番までにスコアを3つ伸ばして独走態勢を築くも、逆に迷いが出て、中盤は3ボギーと失速。昨季までならズルズルと後退してもおかしくなかったが、気持ちを立て直して15番から3連続バーディーを奪った。終わってみれば2位の久保谷健一(37)に2打差をつけ、プロ初の2週連続の単独トップで最終日を迎える。
今季初の黒パンツで、シックに決めた「大人の遼」が、本物の大人たちを圧倒した。前週VanaH杯KBCオーガスタに続いて、3日目を単独トップで終えた。17日にやっと18歳になる石川は「(今の状況は)理想を超えているが、毎週、課題を消化してラウンドをした積み重ねの成果だと思う」と冷静に分析した。
序盤から快調だった。1番で2メートルを沈めてバーディー発進。3番パー5では、ピンまで残り279 ヤード の第2打を3番ウッドで80センチに寄せるスーパーショットを披露。このホール今大会唯一で、今季ツアー最多7個目のイーグルを奪取した。他の選手の戦意を喪失させるようなロケットスタートで、いきなり2位以下に4打差以上つけた。
独走態勢に入ったと誰もが思った時、石川本人の心には迷いが生じていた。
石川
僕だけ、これだけ伸ばしていいのか。どういう気持ちでプレーしていいのか、分からなくなった。
もともと、3日目は「鬼門」だった。攻めに集中できる最終日と違い「攻めていくべきか、守るべきか、判断が難しい」と心の持ち方に苦心していた。その3日目の序盤で、後続に大差を付け始めたことで、ますます迷いが生じた。
それがプレーに表れた。好調だったパットが狂い、後半11、13、14番は、2パットでボギー。特に14番では、上り1メートルのパーパットを入れきれない。2位久保谷に1打差と迫られた時に頭によぎったのは、初日、2日目と同組だった片山晋呉の言葉だった。
片山は昨年5月の日本プロ選手権3日目で、2位に7打差をつけ、そのまま独走優勝した。この日の状況を予期していたかのように、石川はラウンド中に片山に取材していた。
石川
どんな気持ちだったんですか?
片山
競ってる方が楽。もし負けたらとか、気持ちの持ち方は難しかった。
尊敬する実力者でも、2位以下に差をつければつけるほど逆に不安になるものと思えば、気持ちは落ち着いた。
15番では普段通りの攻めの気持ちに戻った。そこから3連続バーディーを奪い、スコアを序盤の11アンダーに戻した。昨季までは、1度リズムを狂わすと、ズルズルとスコアを落とすことが多かっただけに「だいぶ変わってきた」と成長を実感。「珍しいし、気合も入ると思った」という黒パンツ同様、「大人の遼」を証明した1日となった。
前週は1打差でプレーオフ進出を逃した。「もうアクセルしかない。明日はどれだけスコアを伸ばしても、後ろを振り向かない。頂上にたどり着くまで頑張ります」。富士山を仰ぎ見る名門コースでの今季3勝目を誓っていた。【田口潤】

