<米男子ゴルフ:アーノルド・パーマー招待>◇3日目◇27日◇米フロリダ州オーランド、ベイヒル・クラブ(7381ヤード、パー72)

 【オーランド=阿部健吾】石川遼(18=パナソニック)が完全復調の気配だ。米ツアー4度目の予選突破を果たして迎えたこの日、前半だけで3バーディーを奪い、順位を一時20位台に上げた。前日2日目には17番でウオーターショットを米国初披露。70をマークして、76位から44位に順位を上げて決勝ラウンドに臨んでいた。

 先週の予選落ちのショックから、完全に立ち直ってきた。決勝ラウンドの3日目。2番パー3でボギーをたたくも、4番パー5のバーディーですぐに取り戻す。6番パー5では、残り240ヤードを3番ウッドでグリーンカラー奥まで運び、楽々バーディーを奪った。このホールは昨年、池ポチャ2回などで9をたたいた悪夢の場所。初日、2日目もパーセーブがやっとだったが、やっと攻略した。

 前日2日目に兆しを見せていた。17番。西日に照らされた水しぶきが、石川の周りで輝いた。ふわりと上がったボールがピン上1メートルにつく。残り15ヤード。ビーチバンカーのボールは3分の1ほど水につかっていた。「経験したことがないライ。その分何かにとらわれることなく、頭を真っ白にして、自分の勘で思い切って打てた」。優勝した08年マイナビABC選手権の18番の一打と違い、ピンまでの距離が近く、高く上げる必要があった。無心で振り抜き、ナイスパーセーブ。予選通過を決定づけていた。

 復調の支えになったのはやはりドライバーだった。強風にも精度が揺らがず、2日目の平均飛距離は288ヤード(22位)、フェアウエーキープ率は78・57%(12位)。米ツアーレギュラーメンバーと、堂々渡り合っている。一方でアイアンが不安定だったが、ここに来て「ベストの状態に近い球筋、高さを出せるようになってきた」という。「上だけを見て、引き締まった最終日にしたい。明日1日いいプレーして、できるだけ上位でスタートできるように」。そう話していた通り、上昇気流に乗り始めた。