【オーガスタ(米ジョージア州)3月30日=阿部健吾】石川遼(18=パナソニック)が、マスターズ用の「永続前線基地」を確保した。父勝美氏が、毎年使用できる一軒家を手配したことを明かした。大会会場のオーガスタ・ナショナルGCに近く、7LDKでトレーニング部屋も完備する家に、石川も「落ち着ける」と喜んだ。目標のマスターズ優勝へ、最高の環境を手に入れた。この日は約1年ぶりにコースをラウンドした。

 オーガスタの地に、石川が“わが家”を手に入れた。父勝美氏が「同じところだと落ち着ける。やれるだけのことをやって、1打でも良くなれば」と奔走し、毎年使える家を確保した。昨年から20軒以上も視察した末にたどり着いた、これ以上ない新拠点だった。

 オーガスタ・ナショナルGCまで車で約15分。ゴルフ場も備える広大な敷地内の、築20年ほどの一軒家で、7LDKにお風呂が3つある。昨年も同じ敷地内の家を借りたが、「東洋的なにおいが苦手な方で、みそ、しょうゆがNGだった。今年からは納豆を食べても大丈夫ですね」(勝美氏)と冗談めかして話した。

 この日、リビングで取材に応じた石川は、「おうちなんですけど、ホテルの一室みたいな感じ。すごく落ち着きますね」と気に入っている。昨年との大きな違いは、ベンチプレス、バランスボールなどを備えたトレーニング部屋の存在。「去年は全然なかったですからね」と喜んだ。ゲートで守られているため、敷地内で安心してランニングもできる。庭には桜の木もあり、満開のさまに「まさかアメリカで花見ができるとは」と和んだ顔をみせた。

 敷地内にゴルフ場があることも利点だ。マスターズでは、毎年開催週の日曜日までは、選手以外にコースに入れるのは1人という制約がある。向こう4日間はすべて加藤キャディーが帯同予定。敷地内の練習場を活用すれば、コーチでもある勝美氏から直接スイングチェックを受けることもできる。初ラウンドをしたこの日も、朝9時すぎからレンジに立ち、アドバイスをもらった。すべてが新鮮だった1年目を終え、今後は毎年が勝負の年。結果を追い求めるための大きな前線基地になりそうだ。