<男子ゴルフ:長嶋茂雄招待セガサミー杯>◇最終日◇24日◇北海道・ザ・ノースカントリーGC(7115ヤード、パー72)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)◇観衆6488人

 石川遼(19=パナソニック)は6バーディー、2ボギーの68で、通算11アンダー277の2位止まりだった。4打差2位で迎えた最終日は逆転を狙って攻め続けた。前半からバーディーを重ねたが、同じ最終組で首位の金庚泰(韓国)も安定したプレーを展開。一時は3打差に迫るも、13番の池ポチャボギーで力尽きた。今季初優勝を逃し、賞金ランクもトップから2位に陥落した。

 ギャラリーのため息と悲鳴が響く。13番パー5。残り230ヤード、池越えの第2打。3番アイアンを振り抜いた石川の球は、無情にもグリーン前の池に入った。「悪いスイングだった。悔しい」。今季初優勝を遠ざけた、大きなミスショットだった。

 4打差2位で迎えた最終日。スタートの1番ボギーで5打差と開くが、諦めない。前半だけで4バーディーを重ね、3打差でハーフターンした。だが11番で5つ目のバーディーを取った後の13番で池ポチャボギー。攻めたゆえのミスも、追撃への勢いは途絶えた。昨季賞金王の実力に「素晴らしいゴルフ。全く隙がなかった」と完敗を認めるしかなかった。

 逆転優勝を逃した悔しさの一方、充実感もある。開幕前日20日、尾崎将司からのアドバイスでスイング変更を決意。バックスイングでフェースを開いて上げるウッズ流から、逆に閉じて上げるジャンボ流に初日から挑んだ。「180度の方向転換。その中ではうまくスコアをまとめられたし、出来すぎです」。突然のスイング改造中の2位に、一定の自己評価を与えた。

 昨年11月三井住友VISA太平洋マスターズのツアー9勝目以来、優勝から遠ざかる。約8カ月のブランクは08年のプロ転向後では最長。今季は3位以内が4度と、あと1歩で優勝を逃している。

 石川

 過去9回の優勝は気付いたら勝っていた。今は優勝争いに絡みながらも勝てない。だけど今日のような敗北は意味がある。(全米オープン優勝の)マキロイも「マスターズに負けたことで、強くなった」と言った。めげずに(悔しさを)燃えるものに変えていきたい。

 賞金ランクトップも金に譲り2位に陥落した。次戦は2年前に制したサン・クロレラクラシック(28日開幕、北海道・小樽CC)。「ひたすら練習するだけです」。ぶれない姿勢で「優勝の壁」を乗り越える。【田口潤】