<男子ゴルフ:三井住友VISA太平洋マスターズ>◇最終日◇13日◇静岡・太平洋C御殿場C(7246ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 石川遼(20=パナソニック)が同学年のライバルにプロの意地をみせた。17番パー3で昨年9月パナソニックオープンに続くツアー2度目のホールインワンを達成。一時は首位に1打差に迫る猛追で通算9アンダー207の8位に食い込み、逆転賞金王の可能性を残した。同学年の松山英樹(19)のツアー初優勝を歓迎し、今後、同世代で新時代を築くことを誓った。今日14日、米国-世界選抜対抗戦プレジデンツ杯(17日開幕、オーストラリア)に向け出発する。

 万歳しながら、ギャラリーに飛び込んで、ハイタッチを繰り返した。17番パー3。石川が4番アイアンで振り抜いた球は、ピン手前15メートルに着弾すると、そのままフックラインを描いてカップに沈んだ。「見えなかったけど、ギャラリーの歓声で分かった」。一時首位と1打差の猛追。今季初優勝は逃したが、最後に「持ってる」ぶりを発揮したのはさすがだった。

 08年から5位→4位→優勝の大好きなコースで苦しんだ。異例の大会5日前の前週土曜日から現地入り。81ホールの練習ラウンドを積んだが、第1ラウンドは59位と予選落ち危機に見舞われた。2日目の降雨で大会は54ホールに短縮。出遅れていただけに不運な決定も、その日は雨の中で約3時間半も練習を続けた。「持ってる」理由は運だけではない。誰にも負けない努力に裏打ちされていた。

 ホールインワンを決めたことで、大会後は優勝した松山と表彰台で並んだ。ジュニア時代から、同世代と優勝争いすることを夢見てきた。「勝負に負けたことは悔しいが、これほどうれしいこともない」と同学年のライバルのツアー初優勝を歓迎。「ジャンボさん(AON時代)のように、これから何年もかけて1つの時代を刻みたい」と続けた。

 賞金ランク1位■との差は約6300万円に広がったが、ホールインワンの快挙で、逆転の目はわずかに残した。今週はプレジデンツ杯(オーストラリア)出場のため、日本ツアーのダンロップフェニックスは欠場する。「残り2試合、優勝を目指すだけ」と、ライバル松山を刺激にネバーギブアップを誓った。【田口潤】

 ◆賞金王争い

 大会が54ホールに短縮されたため賞金ランクへの加算額は75%に減額。優勝がアマの松山だったため、2位の谷口徹が優勝賞金3000万円の75%、2250万円を加えてランク3位に浮上。ランク1位の■も3位になって657万円を加え、1億5000万円余りに。2位の石川との差は6361万円に広がった。■が次週のダンロップ・フェニックスで優勝して4000万円を加えると、最後の2大会を残して賞金王が確定する。※■は裏の里が非