<男子ゴルフ:プレジデンツ杯>◇最終日◇20日◇オーストラリア・ロイヤルメルボルンGC(7000ヤード、パー71)

 【メルボルン(オーストラリア)=塩畑大輔】世界選抜の石川遼(20=パナソニック)が、世界屈指の飛ばし屋に完勝した。シングルスで米国選抜のワトソンと対戦。安定したショットを武器に着々とポイントを稼ぎ、3アンド2で勝った。初日から苦戦が続いたが、チームに溶け込むにつれ本領を発揮し、2日連続の勝ち星で大会を締めた。チームはシングルス12組で6勝6敗と互角の成績を収めたが、通算19ポイント対15ポイントで優勝を逃した。

 大観衆をミラクルショットで酔わせた。11番パー4。石川は20ヤードのアプローチを直接カップにねじ込んだ。観客席が連なり、数千人が集まるホールでの快挙に、地鳴りのような歓声が会場中にこだまする。「バーディーだったらカッコよかったんだけど。でも地元の人にも応援してもらえて、本当にうれしい」と笑顔をはじけさせた。

 米ツアーでも飛距離ランク上位の常連であるワトソンを、アイアンの精度でねじ伏せた。13番パー4では、第2打を前方の枝を鋭いフックボールでかわし、ピン手前3・5メートルにピタリ。4アップに差を開くバーディーパットを決め、こん身のガッツポーズをみせた。

 実は試合前に加藤キャディーと「飛ばし屋有利の15番パー5までに3アップ以上を稼ぐ」というプランを立てていた。実力者ワトソンに胸を借りるどころか、青写真通りの快勝。初日のラウンド後には地元紙に「期待はずれ極東の若き王者」の見出しも立ったが、最終日には「リオ!

 ゴー!」の声援が巻き起こるようにもなった。

 「前回出た時と全然違う経験ができた」と石川。推薦枠ではなく世界ランクでの出場で、戦力としての責務、重圧とも戦い、見事に克服した。濃密な4日間を経て、石川が心、技ともに大きく成長した。