<米男子ゴルフ:アクセンチュアマッチプレー選手権>◇22日◇初日◇米アリゾナ州ザ・リッツカールトンGC(7791ヤード、パー72)◇賞金総額850万ドル(約6億8000万円)優勝140万ドル(約1億1200万円)◇1回戦32試合

 世界ランク56位の石川遼(20=パナソニック)が、大逆転で同12位ビル・ハース(29=米国)を撃破した。13番を終えて3ダウンと厳しい展開の中、終盤5ホールで3バーディーを奪う反撃を見せ、先週優勝した格上に1アップで勝利した。土壇場で開き直ってショット、パットともにミラクルを連発。2年ぶりに進出する2回戦では99年全英オープン覇者のポール・ローリー(43=英国)と対決する。

 石川は久々に興奮していた。「自分でもやってて、しびれました」。土壇場でミラクルを連発しての劇的な大逆転勝ち。ホールアウト後、外国人リポーターから「What

 a

 big

 comeback!(なんてすげぇ巻き返しだ)」と称賛の声も浴びた。「なんとか自信を失わないように、自分を信じることを忘れずにやりました」。2年ぶり2度目の1回戦突破に表情を緩めた。

 追いつめられてから、やっと石川らしさを発揮した。先週の米ツアー優勝者で世界12位のハースに、3ダウンで迎えた14番パー4。第2打を40センチにつけるスーパーショットで目が覚めた。石川は「あれでパッとスイングが良くなった。あれだけ力感がないスイングは先週も含めてなかった。開き直ったのかもしれない。打つ瞬間に、頭の中が全部真っ白になったら、練習場のスイングができたんです」と振り返った。最終18番では、石川の気迫に押されたようにハースがボギーをたたき逆転劇が完結した。

 向上心が強い石川は「機械になりたい」と言うほど、試合中もスイングの精度アップを考える。しかし、この日は目の前に“敵”がいるマッチプレーで絶体絶命の状況になり、本来の思い切りの良さが久々によみがえった。

 マスターズ出場権獲得圏の世界50位内へ浮上するためには、今大会でベスト8以上の結果が必要だ。2回戦は99年全英覇者ローリーと対決。「やるべきことは今日と全く変わりません」。あと2勝すれば準々決勝でウッズと当たる可能性もある。20歳の進撃はこれからだ。【マラナ=木村有三】