<米男子ゴルフ:プエルトリコオープン>◇最終日◇11日◇リオグランデ、トランプ国際GC(パー72)

 石川遼(20=パナソニック)が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算14アンダーの274で米ツアー自己最高の2位に入った。初優勝は逃したが、賞金37万8000ドル(約3024万円)を獲得して今季の獲得賞金を58万2471ドル(約4659万円)とし、主催者推薦で出場する試合数に制限がなくなる特別一時会員の資格を得た。来季のシード権獲得を視野に入れ、秋以降に米ツアー出場を増やす方向性も示唆した。同日発表された世界ランキングも53位から47位に浮上。大会はジョージ・マクニール(35=米国)が通算2勝目を挙げた。

 カリブ海から吹く強風が最終日だけは心地よく感じた。首位タイで終えた石川は練習場に直行。プレーオフを信じて待った。最終組の首位マクニールが3連続バーディーを奪い、自身初の米ツアー制覇は逃したが「こんなに気持ち良い練習はなかった。かなりすがすがしい。PGAツアーで優勝争いは夢みたいな体験。次こそはものにしたい」と納得の表情を浮かべた。

 今大会開幕時点で132人中、世界ランク53位の最高位で臨んだ石川が、V争いに絡まないわけにはいかなかった。東日本大震災の被災者に黙とうして1番からスタート。ドライバーに苦しみ、5番の第1打を池ポチャ。9番を終えて1バーディー、1ボギーと停滞したが、後半は「好きなコース」と集中力を高めた。

 10、11番にバーディーを奪って2位に浮上すると、17番で好アプローチから1・2メートルのパットを沈めて首位に並んだ。18番パー5も第3打でイーグル狙いの攻めのアプローチ。ピン右20センチで止まって天を仰いだが、最後まで粘って首位タイでホールアウト。「ドライバーの出来は予選落ちも仕方ないほどだけど、結果として出来過ぎ」と一定の満足感もあった。

 世界ランク上位が同時期のキャデラック選手権に出場しており、単独2位は手放しでは喜べない。だが賞金総額で米ツアーに無制限で出場可能となる特別一時会員の資格を得た。昨年とは違い、シーズン序盤で得た権利を行使する意向だ。

 石川

 目指していた。だから今季はソニーオープンから出させてもらったり、入り方も変えた。フォールシリーズ(秋の米ツアー)も出られるし、それはこれから考えたい。

 日本ツアーとの兼ね合いだが、秋以降に米ツアー試合数を増やし、今季終了時点に賞金ランク125位以内に入れば、来季米ツアーのシード権も手に入る。石川も「もう道は1つしかないかなと思っている」と視野に入れている。世界ランクも47位に浮上。特別招待枠でマスターズ(4月5日開幕、米ジョージア州)出場は決定済みだが、自力出場できる50位以内にも上昇。石川はプエルトリコの地で、米ツアー本格参戦への夢を広げた。

 ◆特別一時会員(スペシャルテンポラリーメンバー)

 前年の賞金ランキング150位相当の金額(昨年は約41万ドル=約3280万円)を獲得した米ツアーメンバー以外の選手に与えられる「準メンバー」の権利。年間12試合という出場制限が外れて、主催者推薦などを得て、無制限で今季残りの米ツアーに出場が可能となる。60日以内に申請する必要がある。石川は昨年も同会員の権利を獲得していたが、日本ツアーを優先して、実際に権利行使はしなかった。