石川遼(20=パナソニック)が来季米ツアー本格参戦の準備にとりかかっていることが21日、分かった。19日付で、制限なく試合に推薦出場できる、米ツアーの特別一時会員登録を完了。残り獲得賞金10万ドル(約800万円)前後で達成できる、来季シード権獲得も現実味を帯びてきたことで、全米6カ所をピックアップし、拠点となる住居などのリサーチを開始。拠点から試合会場までを、スポンサーの全日空に協力を得たプライベートジェットでつなぐプランの検討も始まった。

 広大な米国を「点」と「線」で網羅するプランが、水面下で練られていた。関係者によると、石川陣営はすでに来季の米ツアー本格参戦に備え、米国各地で拠点となる住居リサーチを開始。その中で西海岸のロサンゼルス、サンフランシスコ、フェニックス、東海岸のタンパ、オーランド、そしてニューヨークの6都市がベースキャンプの有力候補に挙がってきたという。

 いずれをとっても交通の便や生活環境が良く、日本の食材確保も容易と、拠点として望ましい条件がそろっている。陣営はさらに、拠点から試合会場への移動手段についても、検討を開始。日本国内とは比較にならない移動距離をカバーするために、契約スポンサーの全日空に、プライベートジェットの手配を依頼する案が浮上してきた。

 石川はプエルトリコオープン2位などで、今季の米ツアー獲得賞金が58万2471ドルと、昨季同ランク150位の金額を突破。これにより、今季限定で米ツアーに出場できる特別一時会員の資格を得て、19日付で会員登録手続きも完了した。賞金シード獲得ラインの125位は、昨年実績で66万8166ドル。10万ドル前後を稼げば、来季のシード権を獲得できるところまで来た。

 出場が決まっている今日22日開幕のアーノルド・パーマー招待、および4月5日開幕のマスターズで上位に入れば、早くもシード当確の可能性もある。もしも、この2戦でシード圏内に入れなくても、出場試合数の上限がない特別一時会員の資格を生かし、米ツアーの試合に随時出場することが可能。足りない賞金額に応じて、スポット参戦してシードを狙える、非常に有利な立場になった。

 石川は20日、22日に開幕するアーノルド・パーマー招待に備え、会場のベイヒルCで練習ラウンド。3番ウッドの超低空ティーショットで、強い向かい風を問題にせずフェアウエーキープする姿に、19日から練習に合流したコーチの父勝美さんも「これならこっちでもある程度やれる」と太鼓判を押した。

 石川も「今までは打てなかった球ですね。いいスイングをしていないと打てない球。強風の中はもちろん、林間コースで上空の風の強さや向きが分からない時にも使えると思う」と笑顔をみせた。人生の目標に掲げる、20歳で迎えるマスターズでの優勝争いへ向け、毎日1日10時間以上のハードな練習を続ける。一方でマスターズ以降に向けても、コースの内外で着々と準備を進めている。