石川遼(20=パナソニック)が「ダブル新兵器」で開幕ダッシュを仕掛ける。男子ゴルフの国内開幕戦、東建ホームメイト杯は今日12日、三重・東建多度CC名古屋で始まる。石川は11日、今大会からT字形の新パターと、糸を練り込んだコード入りグリップを初めて使うことを明言。4月の3試合で「1試合は絶対に優勝争いする」と、シーズン序盤への決意も示した。

 プロ5年目の国内開幕戦へ、石川は2つの新兵器を準備した。そのひとつが、T字形センターシャフトのパター。1年以上使い続けた“エース”のL字マレット形に替えて、今大会から使用する。「ヘッドが地面に吸い付いている感覚があるので構えやすい」。9ホールで打ち切りになったこの日のプロアマでも、強い雨の中で感触を確かめた。

 もうひとつ替えたのが、グリップだ。パター以外の13本を、これまでのラバータイプから、糸を練り込んだコード入りタイプに交換。最大の目的は、スコアメークに欠かせないアプローチの感覚をより研ぎ澄ませるためだった。「30ヤードくらいの距離から寄せるときは素手で打ちたいのに、ラバーだと滑る不安がある。でも、コード入りだと素手で握っても手にピッタリくる」。ウッズも短い距離から寄せるときは、手袋を外して素手で握っている。石川も、繊細タッチでカップを狙うために導入を決めた。

 昨季は未勝利に終わった。しかし、石川には後悔や焦る気持ちは少しもない。「『ああいう年は2度と嫌だ』とは思ってない。去年は、たまたま勝てなかっただけ」。真顔でそう言えるのも、毎日誰よりも球を打ち、鍛錬を積み重ねてきた自負があるから。そんな石川の努力をよく知る師匠の尾崎将は「やるべきことはちゃんとやっている。スイングも、もともといい」と“不安なし”を強調していた。

 2シーズンぶりの勝利、3年ぶりの賞金王奪還にも期待がかかる今季の国内ツアー。中学時代の同級生との婚約も表明して、試合に集中できる環境も整った。「去年より球をコントロールできている。去年は勝てなかったけど、大きくジャンプする前の“タメ”だと思ってる。今年の方がプレッシャーも少ないかもしれない。(4月の)3試合で1試合は絶対優勝争いしたい」。開幕ダッシュへ、攻めまくる。【木村有三】

 ◆パターの形状

 L字形、マレット形(かまぼこ)、ピン形とさまざまなタイプがある。ピン形のシャフトは端よりも少し中央寄り。L字形はヘッドの端にシャフトがつき、L字のように見える。マレット形は上から見るとかまぼこのような断面に見える。今回の「T字形センターシャフト」は、軟鉄削りだしヘッドの中央にシャフトを差し込んでいる形状。

 ◆コード入りグリップ

 ゴムに練り込んである糸が指に触れて摩擦力を生むため、滑りにくい特長がある。雨の日や多汗の人に適しており、握った感触もやや硬め。逆にラバーグリップはゴムだけでできているので感触は柔らかく、しっとりしてフィット感がある。