<男子ゴルフ:東建ホームメイト杯>◇最終日◇15日◇三重・東建多度CC(7081ヤード、パー71)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 石川遼(20=パナソニック)が、またも優勝のチャンスを逃した。2打差3位スタートから71とスコアを伸ばせず、通算7アンダーの277で10位に終わった。これでツアー9勝目の10年三井住友VISA太平洋マスターズ以降、1ケタ順位で最終日を迎えた試合は、10大会連続の“V逸”となった。

 手に汗握る興奮の輪の中に、石川は顔を出すことができなかった。「今週は優勝争いしている感覚はなかった」。首位と2打差3位の好位置から、終わってみれば同組で優勝のジョーンズに8打差をつけられた。

 序盤でアイアンが乱れた。3番パー3でグリーン右手前に外し、1・5メートルのパーパットが入らない。続く4番パー5もアイアンでの第2打を右に曲げて、バーディーを奪えなかった。「全体を通してアイアンの精度がもうひとつ。パットも今日は決まらなかった」。3日目まで1位だった平均パット数は、この日1・8667で53位へと急降下。T字形新パターの調子が大事な最終日に狂った。

 唯一の見せ場は17番パー5だった。残り211ヤードから4番アイアンで大きくスライスをかけ、右から吹く風にぶつけてピン奥1・5メートルへ2オン。イーグルを決めた。真っすぐ打って風に乗せるのではなく、球を曲げて風と“ケンカ”させて距離と方向性を合わせる高い技術を見せた。

 石川は「今季の日本ツアーでは明確な目標を立ててない」という。将来の米ツアー参戦を見据えるだけに、スイングの向上と、コース戦略の幅を広げることに重点を置いている様子。そんな試行錯誤が、優勝を争う場で好結果に結びつけば、海外に行く際の大きな自信にもなる。【木村有三】