一ノ瀬優希(26=フリー)が5バーディー、ノーボギーの67で回り、通算7アンダー137で首位に浮上した。昨季は序盤に2勝も、中盤以降は故障で離脱。リハビリ生活の中、モーグル五輪代表の伊藤みき(27)らに勇気をもらって、再起を目指してきた。今日26日の最終日には、昨年5月サイバーエージェント・レディース以来のツアー4勝目がかかる。

 一ノ瀬に晴れやかな笑顔が戻った。18番では残り148ヤードから7番アイアンで3メートルにつけてバーディー締め。「もっとバーディーを取れたし、明日への期待を込めて」と、まず「70点」と自己評価し、足りない30点を尋ねられると「言い過ぎでした。80点」と上方修正した。それほど危なげないラウンドだった。

 「今はゴルフが楽しい」と笑みが絶えない。昨季は最初の9戦で2勝も、鎖骨付近から肩にかけて痛みが出て、6月以降は出場1試合でそれも棄権となった。「左胸郭出口症候群」との診断で、いわゆる公傷制度の適用を受け、残りシーズンを治療とリハビリに費やした。

 最初は千葉・船橋市内の病院で「おじいちゃんやおばあちゃんと同じマットの上で」のリハビリで、「何で治らないんだろう」と落ち込む日が続いた。女子ゴルフをテレビで見る気にもなれなかった。

 それが東京・国立スポーツ科学センターに通うようになって一転した。伊藤みきや自転車の豊岡英子、レスリングの村田夏南子ら他競技の選手と交流。患部にボルトが入っている選手もいた。「みんな落ち込むより、早く復帰するという強い気持ちを持っていた」。刺激されて、前向きになった。

 「成績が出ないより、試合に出られない方がつらいから」。今は体に負担のかからないスイングへと改造中、ストレッチやトレーニングは毎日欠かさない。この日は飛ばし屋の渡辺と同組で、つられるように「振り切りました」。それでも痛みはなかったという。

 13年大会最終日には64のビッグスコアをたたき出している。「いいイメージはある。周りは気にせず、自分のペースで」。鮮やかな復活劇を狙う。【岡田美奈】

 ◆一ノ瀬優希(いちのせ・ゆうき)1988年(昭63)10月5日、熊本市生まれ。プロゴルファーの父喜一郎さんの指導で、12歳からゴルフを始める。御船高卒業後、07年プロテスト合格。08年に初シード獲得。13年Tポイント・レディースで初優勝、14年PRGRレディースなど2勝。得意クラブはドライバー。158センチ、54キロ。