新たな日本勢の脅威となるかもしれない。田仁智(チョン・インジ、20=韓国)が通算12アンダー276で、史上初となる日本ツアー初出場でのメジャー制覇を成し遂げた。3バーディー、4ボギーでスコアを1つ落としたが、2位の上田桃子(28)に4打差をつけて逃げ切った。20歳273日で大会最年少優勝記録も更新。女優吉田羊似で韓国の名門高麗大に通う才色兼備の女子大生プロ。日本ツアー本格参戦となれば、旋風を巻き起こしそうだ。

 田が2ホールで勝負を決めた。1番パー5でバーディーを奪うと、圧巻は2番パー3。2打目のバンカーショットはグリーンをオーバーしたが、3打目をピンに直接当てて沈め、パーセーブ。終始4打差以上をキープして逃げ切り「オウエンシテクレテ、アリガトウ」と勉強中の日本語であいさつし、ニッコリ笑った。

 涼しげな顔立ちは女優吉田羊似。5勝を挙げている韓国ツアーではNO・1の人気を誇る。「ダンボ」のニックネームで愛され、この日も黄色い帽子をかぶって応援に駆けつけていたファンクラブ「FLYING DUMBO」の会員数は約2900人。優勝副賞の高級外国車を東日本大震災の被災地へ寄付する意向を示す、心優しい一面もある。

 6月5日までに登録すれば1年間の日本ツアー出場権を得られる。8日には両親と牛久大仏観光に出掛けてリフレッシュするなど、大の日本好きで、同組で回ったイ・ボミからも「一緒にプレーしよう」と誘われた。ただ、そこはソチ五輪女子フィギュアスケート銀メダルの金妍児さんも通ったIQ135の高麗大3年生。「学業もあるので、両親と話して、しっかり考えたい」と言うにとどめた。

 確かな実力を示し、試合後には約100人のファンがサインを求めて列をつくった。いまや日本ツアーを席巻する韓国勢に、新たなヒロイン候補登場の雰囲気が漂う。【亀山泰宏】

<田仁智アラカルト>

 ◆大学生 1994年8月10日、韓国生まれ。12歳でゴルフを始める。「父の友人がプロゴルファーで、練習についていったら楽しかった」。12年にプロ転向。13年KIA自動車女子オープンで初優勝。世界ランク24位。高麗大国際スポーツ学部3年。家族は父田鍾珍さん(57)と母金恩姫さん(53)と姉1人。

 ◆日本語 15歳の時、日本語レッスンに通ったが、ゴルフと両立が難しく10回で断念。「いまだに残念」で再び勉強中。

 ◆愛称 ダンボ。小さな象に雰囲気が似ており、母親の象に続いて着実に歩んでほしいという意味を込めてコーチが命名。身長175センチ。