プロ4年目の石川陽子(22=フリー)がツアー自己ベストタイの4アンダー68で1打差3位発進した。「セーラームーン」など“魔女っ子系アニメ”が大好きで、かつては漫画家も夢に見た。今も同人誌に作品を寄稿する異色プロがツアー初優勝に挑む。

 前半11番で10メートルを放り込み、後半1番では30ヤードのチップインも決めた。ノーボギーで自己ベストタイの68をマークした石川がラウンド後、報道陣に囲まれると申し訳なさげにこぼした。

 「私なんかがこんなところに…。いいんですか?」

 クラブのグリップは絶対に黒。「見える部分は本格的でいたい」と硬派を目指すが、中身は軟らかい。基本はインドア派のアニメ好きだ。中学まで勉強をすると趣味のお絵かきに走ってしまい、ノートは「セーラームーン」など魔女っ子系のキャラだらけ…。「勉強が嫌なら、ゴルフをしろ。それで高校に行けばいい」と名門日大ゴルフ部出身の父淳一さん(45)に諭され、ゴルフに本腰を入れた。

 「別にプロになろうと思わなかった」と苦笑いする22歳は、今も同好の士に頼まれては絵を描く。今年2月にはその筋のコミック・マーケットで同人誌に寄稿した。腕前はプロ級だ。

 とはいえ、今はプロゴルファー。そっちの意地も夢もある。「打ちたい球を打って、理想のプレーがしたい。その先にシード、優勝があれば…うれしいです」。ヤーデージブックに「カードキャプターさくら」の人気キャラ・通称ケロちゃんのクリップを忍ばせ、今日もコースに立つ。【加藤裕一】

 ◆石川陽子(いしかわ・ようこ)1992年(平4)9月7日、横浜市生まれ。ゴルフは12歳から。東京・代々木高を卒業した11年に関東女子アマ優勝で初のアマチュアタイトルを獲得し、12年プロテスト合格。昨年の最終QT55位。生涯獲得賞金221万8000円。ツアー最高位は先々週サロンパス杯の36位。163センチ、57キロ。