片岡大育(だいすけ、26=Kochi黒潮CC)が5バーディー、1ボギーの67で回り、通算17アンダーでプロ転向9年目で悲願のツアー初優勝を果たした。1打差2位から逆転。07年11月にプロの世界に飛び込み、アジアンツアーで小技を磨きながら、今季はドローに球筋を変える“ビッグチェンジ”で花開いた。開幕から3試合続いた外国勢の優勝も片岡が阻止した。

 18番のティーに立つ片岡が額の汗を拭った。大会は関西ゴルフ連盟の自主運営のため、経費節減でインの途中に順位を知らすボードはなかった。片岡は「トップとは感じていたけど、ずっと(2位と)1打差だとドキドキしていた」。

 両サイドが危険な最終ホールで、しっかりと左サイドをキープ。第2打もピン右4メートルに乗せた。グリーンサイドに来て「2位に3差の首位」を確認した時、やっと安堵(あんど)の表情を浮かべた。あとはウイニングボールをカップに入れるだけだった。

 首位に1打差2位で出た片岡は「開幕から外国人の3連勝は知っていた。ボクが阻止する気持ちでいった」。そんな強気が4番から4連続を含む5バーディーにつながり、6番を終えた時点で単独トップに立った。プロ転向9年目でようやく頂点に上り詰めた。

 香川西高を卒業した19歳の片岡は、07年中四国オープンでアマチュア優勝を果たした。80年倉本昌弘以来の快挙だった。その年の11月にツアープレーヤーに転向したが、翌年から3年間は出れば予選落ちの結果が続いた。「絶望して悔し泣きした」。11年からアジアンツアーに参戦し、厳しい環境に自分を置いた。

 167センチと小柄な片岡がツアーを生き抜くには、まずショートゲームがうまくなることだった。青山充コーチと二人三脚で小技を磨いた。その成果で13、14年と日本ツアーでシードを獲得。今季は課題の飛距離アップに挑んだ。

 昨年の平均飛距離は270ヤードを切り、ツアー86位だった。13歳でゴルフを覚えたころからのフェード系を、今季はまったく逆のドローの球筋に変えた。大きな賭けに勝った。「それがうまくいった。15ヤードは伸びてゴルフが楽になった」。勇気ある転換がツアー初優勝を呼び込んだ。松山英樹や石川遼が渡米し、スター不在の国内ツアーで、片岡のゴルフ人生が大きくチェンジした日となった。【町野直人】

 ◆片岡大育(かたおか・だいすけ)1988年(昭63)10月17日、高知市生まれ。中学1年時に父和人さん(53)の勧めでゴルフを始める。香川西高3年時の、06年四国アマで大会初の高校生王者に。07年ナショナルチームに入り、同年11月にツアープレーヤー転向。11年アジアンツアー参戦、13年ANAオープンで4位に入るなど日本で初シード獲得。167センチ、72キロ。独身。