吉田弓美子(28=フリー)が涙の今季初、ツアー通算5勝目を挙げた。首位スタートの最終日は5バーディー、1ボギーの68。通算15アンダーで2位ジョン・ジェウン(26)に1打差で逃げ切った。過去4勝は全部長尺パターだったが、来年からの世界的な「アンカリング禁止」を受け、通常サイズのパターで初優勝。昨季0勝のスランプを抜け出した。

 涙がポロポロあふれ出た。「昨年は1勝もできなくて…毎年1勝を目標にしていたのに…」。優勝インタビューで、吉田の声が途切れる。年間3勝した13年以来の復活Vは格別だった。

 グリップの一部を体に固定して打つアンカリングが、来年から禁止になる。「しっかり支点を作ってストロークする私は、大丈夫なのか?」。過去4勝は全部、長尺パターで挙げた。規制に先立ち、今季から通常サイズのパターに替えた。「プロゴルファーとして振り出しに戻る」転機だった。

 28歳。誕生日で見れば、今季の賞金シード保持者50人中20番目だ。昨季から体重を7キロ絞った。アイアンはマッスルバックから、スイートスポットの広いキャビティバックに替えた。「今のツアーにいかについていけるか、です」。体と道具の変化を受け入れ、吉田の第2のゴルフ人生が始まった。【加藤裕一】

 ◆吉田弓美子(よしだ・ゆみこ)1987年(昭62)4月28日、神奈川県生まれ。ゴルフは10歳から。厚木北高2年でJGAナショナルチーム入り。TPD登録で07年にプロ転向、09年プロテスト1位合格。12年NEC軽井沢72で初優勝。13年は3勝で賞金ランク5位、昨季は0勝で同20位。164センチ。家族は両親と兄2人。

 ◆アンカリング 「グリップの一部を体に固定、支点にして打つ行為」のことで、来年1月1日からルール上禁止となる。中・長尺パターの禁止ではなく、あくまで行為を制限するもの。「ゴルフの通常のスイングを衰退させる」などの理由から、英国R&Aと全米ゴルフ協会が13年5月に告知した。