アマチュアの勝みなみ(16=鹿児島高2年)が1打差3位と好発進した。3バーディーの後に3ボギーと失速も、終盤6ホールで4バーディーを奪って4アンダー68。キャディーを務める母久美さん(48)の支えを受けながら、優勝した昨年KKT杯バンテリン・レディース以来の1桁発進となった。

 母の力は偉大だった。勝は11番で3個目のボギーをたたき、貯金を吐き出してイーブンパー。「もったいない」とイライラしていた時だ。「ここからがスタートだよ」という久美さんの一言で「気持ちが晴れました」。13番で複雑なラインの10メートルのパットが決まり、15番では残り125ヤードの第2打をピッチングウエッジでカップ横50センチにピタリ。さらに2つバーディーを重ねて、順位ボードを一気に駆け上がった。

 ゴルフをしない久美さんは、プレーには口出しをしない。それでも「黙っていても面白い。落ち着く」(勝)最高の相棒だ。「お母さんとなら鹿児島弁で話せる」上、この日はかつてのお笑い番組「笑う犬」のコント「テリーとドリー」のまねを2人でするなど、リラックスと集中のメリハリがつく。今季は2度目のコンビで、アップダウンのきついコースに久美さんはアミノ酸を栄養ドリンクで飲んで臨んでいた。

 もちろん勝自身の成長もある。4週前にアマの国別対抗戦で、団体戦ながら最終日に11打差を逆転して優勝。「諦めないで最後までやれば、何打差あってもひっくり返せると、神様が教えてくれた」。不屈の精神を学び、それがこの日「生きたと思います」。

 首位発進から初優勝につなげて以来、ここまでツアー10戦で第1日は23位、最終順位は15位が最高位と、伸び悩んでいた。絶好のスタートに「2勝目、したいですよね」と素直に言い、無邪気に笑った。【岡田美奈】