二足のわらじを脱いだ元選手会長に自身初メジャーのチャンス到来だ。横田真一(43=サクセスプロ)が7バーディー、1ボギーの66で回り、通算8アンダー、136でトップタイに浮上した。今年3月に順大大学院医学研究科医科学専攻修士課程を修了。ゴルフに専念する環境が整い、大学院で学んだ知識を競技に生かすことで、ツアー2勝の実力者に復活の気配が漂う。

 今季出場2試合ともに予選落ちから、この日ベストスコアをマークした。横田は「自分がビックリ」と言いつつ、ドヤ顔だった。まず、環境が変わった。3月に修士課程を修了。「勉強はパワーを使う。ゴルフに対する情熱がなくなる。でも、大学院がなくなると、ゴルフしかなくなった」。試合に出られない週は「毎日700発打つ練習を2、3日続けた」と振り返る。

 生活習慣も変えた。修士論文のテーマは「プロゴルファーにおける自律神経とパフォーマンスの関係」。59人のプロから統計を取り「朝食はほとんど食べない方がいい」と結論づけた。「食べると胃に血液を取られる。年を取れば、食べると眠くなる。パフォーマンスも落ちる」。テニスの世界ランク1位、ジョコビッチも朝は水、ハチミツ、果物しか食べないと聞き、確信を持った。大会中、朝はゼリーだけ。飲酒も週2日に限定。体重は4キロ減って71キロとなったが、ドライバーの飛距離は3ヤード伸びた。

 博士課程進学に意欲を示し、都内で2カ所のゴルフレッスン施設も監修。それでも「もう1回シードを」。今大会上位4人までに与えられる全英オープン出場権にも「4大メジャーに出たことがない。20年のゴルフ人生の汚点です。甘くないけど、出てみたい」。今は、ゴルフのことしか考えていない。【亀山泰宏】