ゴルフ界の武藤も頑張ってます。4位から出た武藤俊憲(37=赤城CC)が6バーディー、1ボギーの66で回り、通算11アンダー、202でトップタイに浮上した。サッカーの名門、前橋育英高ゴルフ部出身の元サッカー少年は、Jリーグを沸かせる2人の武藤に負けじと意欲満々。初めて最終日最終組で同組となる矢野東は同じ群馬出身の同い年で「中学時代からのライバル」とあって、ツアー通算6勝目へがぜん燃えている。

 LOVEポーズはもちろん、イケメンさわやかスマイルもない。武藤は淡々と、実直に6つのバーディーを積み上げた。最終18番はグリーン右のカラーからパターでねじ込んでのバーディーフィニッシュ。「いい上がりができました」と力強くうなずいた。

 母栄子さんの実家がゴルフ練習場だったことで幼い頃からクラブを握っていたが、箱田中時代はサッカー部所属。「あれだけチャンスがあって外しても、いい位置にいる」。かすかに感じる追い風はサッカー界から吹いているのか。「『武藤』は今、トレンドですからね。(日本代表の)武藤嘉紀君ですよね? 武藤雄樹君もいるんですか。勢いありますよね。流れに乗らないと」。第1日のティーオフで運営スタッフが武藤俊憲(むとう・としのり)を「ヨシノリ」と名前をかんでしまったのも、偶然ではないのかもしれない。

 矢野の存在も勝負師のハートをくすぐる。シードを持っている分“格上”のはずだが「(矢野に)『うまくなったね』って言われるんです。2人で面白い試合ができれば」と苦笑する。13年夏の甲子園で母校野球部が優勝、昨年は富岡製糸場の世界遺産登録、ぐんまちゃんのゆるキャラグランプリ優勝、母校サッカー部の選手権準優勝…。故郷に思いをはせているうちに気が付いた。「群馬、キテますね」。やはり追い風だ。【亀山泰宏】