通算14アンダー274で並んだイ・ボミ(26=韓国)が、李知姫(36=韓国)とのプレーオフを2ホール目で制した。5月のほけんの窓口レディース以来、今季2勝目、通算10勝目。優勝賞金2520万円を加え、今季の獲得賞金額が1億円を超えた。6月28日の大台突破は、06年の大山志保の8月13日を大幅に更新する史上最速で、出場15試合目は11年のアン・ソンジュと並ぶタイ記録となった。

 イ・ボミの狙いすました一撃が最後の最後に出た。通算14アンダーで並んだ李知姫と18番パー5でのプレーオフ。2ホール目の第3打だ。ピンまで70ヤードをロフト57度のウエッジで寄せにいく。「私のフルショットでは80ヤードだから、70ヤードだよと言い聞かせて打った」ショットはピン30センチにからみついた。5メートルにしか寄らずバーディーパットを外した李に対し、難なくウイニングパットを沈めたイは、両手を高々と突き上げた。

 この優勝は狙っていた。4週連続出場した前半戦の最終戦だ。2520万円の優勝賞金をゲットすると、今季の獲得賞金は1億円を突破する。イ陣営はみんながここに集中した。帯同する母ファジャさん(53)は、ホテルにこんろを持ち込んで食事をサポート。前夜の夕食はプルコギだった。渡辺吾児也(あるや)トレーナー(35)は「疲れはあるが、さらに負荷をかけた。体の切れは今季最高だった」という。

 そして、最後は優勝を決めるウエッジショットをイに練習させた、清水重憲キャディー(40)だ。「ウエッジの距離感がだめだったので、初日からウエッジだけ練習してもらったのがよかった」。現役プロキャディーで最多の26勝目を飾り、してやったりだった。

 「チーム・ボミ」で勝ち取った史上最速の1億円。昨年9月に亡くなった父ソクジュさんに誓う「賞金女王」に近づきつつある。「あと3勝はしたい」というイは、09年に横峯さくらが作った約1億7500万円の年間最多賞金を塗り替えそうだ。【町野直人】