宮里優作(35=フリー)が、30位から2打差3位に急浮上した。6バーディー、ノーボギーでこの日のベストスコア66の猛チャージ、通算10アンダーの206とした。前夜にはバーでショットの修正点がひらめいたところ、偶然にも居合わせた青木功(72)からハッパを掛けられて発奮。昨年4月の東建ホームメイト杯以来の3勝目を射程圏とした。J・B・パク(33=韓国)と金亨成(35=韓国)が、通算12アンダーで首位に並んでいる。

 宮里のショットとパットがようやくかみ合った。14番では残り115ヤードからピッチングウエッジでピン横2メートル、17番では残り144ヤードから9番アイアンで左奥3メートルにつけてバーディー。16番では3・5メートルの難しいパーパットも決めた。「今日が勝負だと思っていた。攻め抜くことができた」。第3日に10位以内に入れば勝機あり、と踏んでいた。首位と2打差に「うまく詰められました」と満足そうに振り返った。

 前日までティーショットが不安定だった。前夜は千歳市内のバーで、ラム1杯と大好きな葉巻を1人で楽しみながら、ゴルフのことを考えていた。そこで悪い時は、アドレスで球の位置が遠くなってしまう癖があることに気づいた。この日は球に少し近く立ち、スタンスを狭めてコンパクトに振るように修正。「これがはまった」。パー3を除く14ホールすべてでフェアウエーをとらえ、チャンス量産につなげた。

 さらにそのバーでは、本コースの設計者でテレビ解説のため現地入りしていた青木と遭遇した。青木の方からわざわざ近づいてきて「明日はスコア出さないと(テレビで映像を)使ってやらないぞ」と声をかけられた。期待を感じ取り、発奮材料とした。

 6月の日本ツアー選手権からパットは好調だった。従来のものより5グラム重いパターに替えたところ、球が伸びるようになり、ストロークが安定したという。これにショットが絡めば鬼に金棒だ。一昨年の最終戦日本シリーズ、昨年の開幕戦と「年またぎの2連勝」を達成して以来、勝ち星がない。今季初の最終日最終組となり「明日はやるしかない。上だけを見て、優勝を狙います」。普段は謙虚な男が、闘志をむき出しにした。【岡田美奈】