今季日本ツアー初出場の松山英樹(23=LEXUS)が最終日に魅せた。13番からの5連続を含む10バーディーを奪い、2ボギーで64と猛チャージ、通算18アンダー270の9位で大会を終えた。1ラウンド10バーディーは国内外通じツアー自己最多。東北のファンを喜ばせ、8月の全米プロ選手権につながる一戦となった。

 18番パー5で2メートルのバーディーパットは惜しくもカップ右をすり抜けた。それでもロープ際をびっしりと重なる大ギャラリーから大きな拍手と歓声。「松山さん、来てくれてありがとう!」の声が何度も飛び、松山は帽子を脱いで、笑顔で応えた。「みなさんが盛り上がれるゴルフができたと思います」。汗だくの顔で満足げに話した。

 「昨日より体調がよく、集中力につながった」。3番までで2ボギーも、4番から4連続バーディー。優勝ラインを通算20アンダーと見込み、9番を終え「あと6、7個必要」とギアが上がった。10番でグリーンを外した以外はすべてバーディーチャンス。11、12番は惜しくも入らなかったが、13番で1・5メートルを沈めてゾーンに入った。15番では6メートルのフックラインを決めてガッツポーズ。「残り全部バーディーで18番がイーグルなら20アンダー。あのパットはうれしかった」。18番は誤算に終わったが、10バーディーはアマだった11年サンクロレラ・クラシック第3日の9個を上回る自己最多だ。

 今季最後のメジャーとなる全米プロに向け「やはり体調管理が大事になる。ショットとパットも磨かないと」と、課題と弾みを得たラウンドとなった。

 体調が万全でない中、プレーを支えたのは東北の人々の声援。「それは間違いないです」。この日もプレー直後、子供を中心にサインのペンを走らせ続けた。「僕がプレーしただけで『ありがとう』と言ってもらえるのはうれしい。また日本でプレーしたいな、と思いました」。次回の日本ツアー出場時は米ツアー優勝を手みやげにした“凱旋(がいせん)試合”にしたいところだ。【岡田美奈】