米ツアーシード落ちの危機にある石川遼(23=CASIO)が、同ツアー2度目のホールインワンで首位発進した。後半4番パー3。「完璧」と自画自賛するスーパーショットがピン奥からきれいに転がり込んだ。この日は6連続バーディーも奪った。8アンダー、63は同ツアー出場116戦目の自己ベストスコア。来季シード決定まで残り3試合。逆転シードへ、ツアー初Vへ、最高のスタートだ。

 確かな手応えがあった。8番アイアン。石川のショットは高い弾道で178ヤード先のピン上を通り過ぎ、グリーン奥エッジにキャリー。1度止まったかに見えたボールはダウンスロープをゆっくり転がり、約10秒後、カップに消えた。

 「いいショットが打てた。戻ってきてくれて、ラッキーと思ったのが入ってくれた。ついているなと思う」。ボールの行方を見届けて、同伴競技者らとハイタッチで喜んだ。

 米ツアーで2度目のエース。前回は13年3月9日、プエルトリコオープン第3日。リオグランデ・トランプ国際GCの8番パー3(236ヤード)で決めたが、当時の6番アイアンは「ミスショット」という。今回は「打った瞬間、ほとんど完璧だと思った。思ったところよりも奥に行ったのは、アドレナリンも出ていたかもしれない」。前半14番から圧巻の6連続バーディー。16、17、18番は5メートルや7メートルのパットをねじ込んだ。勢いに乗ってとどめの一発で、米ツアー自己ベストの63。5月21日クラウンプラザ招待以来2度目の首位発進を決めた。

 来季シード確保へ、正念場だ。フェデックスポイントランクは圏内の125位に届かぬ140位。賞金ランクも同125位に届かぬ130位。出場権を持つ残り3試合で逆転するには、ツアー初優勝、または2、3位などの上位フィニッシュが必要になる。公式記者会見にも呼ばれ「冷静な、いい集中力でやれた。いいプレーだった」と話した。1つでも上へ。石川の頭には、それしかない。

 ◆米ツアーシード フェデックスポイントランク、または賞金ランクで125位以内で獲得できる。石川は現在、前者140位、後者130位。今季出場権があるのは今大会、WBCブリヂストン招待の“裏競技”のバラクーダ選手権(6日開幕)ウィンダム選手権(20日開幕)の3試合だけ。シード落ちなら、来季ツアー出場権をかけ、下部ツアー上位者との入れ替え戦に回る。