首位タイでスタートした石川遼(23=CASIO)が単独首位で決勝ラウンド進出を決めた。わずか5センチで“2日連続エース”を逃した16番パー3など、上がり3連続を含む7バーディーを量産。68で通算11アンダーとし、頭1つ抜け出した。世界選手権シリーズ(WGC)と全米プロの直前とあって有力選手が少ない今大会。残り3試合での来季シード逆転確保はもちろん、米ツアー初優勝も現実味を帯びてきた。

 前日に負けない好感触だった。終盤の16番パー3。石川の9番アイアンの一振りは、155ヤード先のピン前約3ヤードにキャリーした。そのまま転がり、カップ寸前の左前で止まった。あと5センチ右を転がっていたら…。第1日の4番パー3に続く2日連続のホールインワンを逃し、上体をかがめ、悔しがった。現地メディアにコメントを求められて「オールモスト(ほとんど)ホールインワン」と笑った。

 スーパーショットだ。15番までの4バーディー、4ボギーという一進一退の流れを変え、上がり3ホール連続バーディーを呼んだ。「アイアンはパーフェクト?」と言うインタビュアーに「ノット・パーフェクト。16番の第1打と、17番の第2打はすごく良かったけど…」と英語で応じた。「スピーク・パーフェクト(しゃべりは完璧だよ)」と返され、照れ笑いだ。

 うまみの多い大会で、米ツアー初の単独首位ターンとなった。6日開幕のWGCブリヂストン招待、13日開幕のメジャー最終戦全米プロというビッグイベントを控え、多くの有力選手が欠場。世界ランク50位内の出場者は7位ローズ、8位ファウラーら5人しかいない。それでいて大会の賞金総額670万ドルは、昨年に松山が優勝した“準メジャー格”メモリアル・トーナメント(620万ドル)を上回る。割り当てられたフェデックスポイント(優勝500ポイント)もツアー平均だ。

 石川は現在、来季シード圏内のフェデックスポイントランク125位まで、64ポイント差の140位。同じく賞金ランク125位まで、2万4874ドル差の130位。薄い選手層の高額大会で、一気にシードを…いや初優勝を手にする絶好機が訪れた。