フェデックスポイントランク124位でギリギリ出場権を獲得した石川遼(23=CASIO)が下克上へ好位置につけた。1イーグル、3バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、2アンダーで首位と3打差の18位。トップと1打差で迎えた最終9番のダブルボギーは悔やまれるが、同ランク上位100人が進める第2戦へ上々のスタートを切った。

 レギュラーツアー最終戦でプレーオフ出場圏内に滑り込んだ石川が、勢いのままに好発進した。10番スタートから、16番パー5で流れを引き寄せた。ティーショットを左のラフに曲げ、フェアウエーにレイアップした後の第3打。ピンまで残り180ヤードを6番アイアンで狙い通りグリーンの奥寄りに落とすと、ボールは傾斜を転がってゆっくりとカップに吸い込まれた。「気が楽になった」という会心のイーグル。3ラウンド連続のイーグル奪取で波に乗り、4、5番でも連続バーディー。一時は首位に1打差と迫った。

 今季終盤は8週連続出場の強行日程を組むなど、シード権確保へ必死の戦いを続けてきた。当然、体は悲鳴を上げて練習量をセーブせざるを得なくなったが、それが良かったのではと見る向きもある。もともと練習を始めたら止まらないタイプ。関係者は「結果的に、ケガの功名ではないが、あまりゴルフ、ゴルフしなかったのが良かったのかもしれない」と話す。ここに来てスイングに迷いがなくなり、石川は「難しいコースでスコア的にはいいプレー」と手応えをにじませる。

 第2戦のドイツ銀行選手権(9月4日開幕)に進めるポイントランク100位まで約100ポイント差。今大会で「20位に入れればいけるかな」とにらむ。ひとまず圏内につけた形となったが「良かったのはドライバーくらい。全体的に修正しないといけない」と引き締める。2年連続で挑むボーナスステージ。下克上を果たすことが、1年間苦しみ抜いた自分へのご褒美にもなるはずだ。

 ◆プレーオフ レギュラーシーズンの通算フェデックスポイントランク上位125人が第1戦(バークレイズ)に進出。第2戦(ドイツ銀行選手権)は同100人、第3戦(BMW選手権)は同70人、最終戦(ツアー選手権)は同30人と、選手が絞られていく。最終戦終了時点で1位の選手には1000万ドル(約12億円)が贈られる。加算ポイントはレギュラーシーズンの4倍で、第3戦を終えた時点でいったんリセット。最終戦前にランキングに応じてあらためてポイントが付与されるため、大逆転も可能。最終戦に出場できた選手は、来季のマスターズ、全米オープン、全英オープンの出場権を得られる。