新人の種子田香夏(たねだ・かな、20=フリー)が5バーディー、2ボギーの3アンダー69をマークし、首位と3打差、ツアー自己最高の6位発進を飾った。元JGAナショナルチーム候補の実力を持ちながら「タネコダ」「シュシダ」と呼ばれがちなルーキーがV争いに挑む。

 自分の名字をアピールするように、種子田がスコアを伸ばした。パープレーの前半インから後半アウトで3バーディー。5番パー4はチップイン、6番パー3は7番アイアンの第1打をピン30センチにつけ、8番パー5は実質2オン2パット。「後半は第1打がむしろ良くなかったのに、ミスを風に助けられたり…。ラッキーでした」。20歳の新人は初々しい笑みを浮かべた。

 日本女子オープンでV争いを演じた柏原明日架にハラハラし、賞金ランク37位でシードを確定的にした永峰咲希、同40位の堀琴音に負けじと頑張る。3人と同学年で、沖学園高2年の時には一緒にJGAナショナルチーム合宿に参加した。力はある。しかし、知名度がイマイチなのは難読の名字も無縁じゃない?

 「最初に『タネダ』と呼んでくれる人はまずいません。『タネコダ』とか『シュシダ』とか…。まあ珍しい名字なんで仕方ないですけど」。そう言って笑う種子田によると、父方の祖父が鹿児島生まれで「そっちの方に種子田姓は多いそうです。種子島とも関係があるとか…」という。

 小5のレッスン会で指導を受けた上田桃子にあこがれ、9月上旬のゴルフ5レディースで初めて練習ラウンドをともにした。バーディーが少ない悩みを相談すると「別のポイントに気を向けた方がいい」と助言された。「だから、今はアドレスで狙う方向に正確に向けるよう気をつけています」。残り2日、狙うはV争い。そうなれば「タネコダ」「シュシダ」と呼ばれることはなくなるはずだ。【加藤裕一】

 ◆種子田香夏(たねだ・かな)1995年(平7)4月25日、福岡市生まれ。ゴルフは7歳から。昨年最終QT26位となり、今年1月にTPD登録でプロ転向。今季出場22戦で最高位は4月KKT杯バンテリンレディース11位。8月のプロテストに18位で合格。目標のプロは上田桃子。158センチ、55キロ。

 ◆種子田姓 名前や名字に特化したアプリなどを開発、運用するリクルーティングスタジオ(本社・千葉県市川市)のアプリ「名字由来net」によると、名字の全国ランキングで6389位、全国に約1500人いる。薩摩藩の有名氏族や、近年は鹿児島県に多数みられるとしている。