男子ゴルフの石川遼(24=CASIO)が8日、16年初戦となるソニー・オープン(14日開幕、米ハワイ州ホノルル・ワイアラエCC)に向けた渡米前に羽田空港で会見を行った。

 「過去の成績を見ても決して得意なコースではないけど、思い切りやって、できるだけ上位に食い込みたい」と意気込みを口にした。

 8月にはリオデジャネイロ五輪という大舞台も控える。これまでは国内外で多くのトッププレーヤーが口にしてきたように、メジャーとの比較から慎重な言葉を選んできた石川だが、この日は「普段ゴルフを見ない人もオリンピックは見る。出たい気持ちが強い」と明言した。

 現在、世界ランク103位で日本勢6番手。「短期間で(日本勢)2番に入るには、アメリカでかなり上の成績を残さないと」と、五輪出場を目指すことがいいモチベーションになるとも考えている様子だ。さらには28歳で迎える20年東京五輪について「必ず出たい」と強い思いを隠さなかった。

 サッカー浦和のDF槙野智章やMF柏木陽介(ともに28)らとプライベートでラウンドを回るなどつかの間のオフを楽しんだ後は、沖縄合宿を敢行。パー5でのバーディー奪取率向上を狙ったフェアウエーウッドの精度向上やフェードボールの強化に取り組んだ。さらには「フォーカスバンド」という機器を用いた“脳トレ”にも着手。「打つ前まで左脳で考えて、アドレスに入ったら右脳で打つ。打つ時は球筋だけをイメージして感覚で。左脳で考えてしまうと体が動きにくくなるから」。自らの内面とも向き合ってきた。

 「知らない場所で地図もなければ、道を間違えたり、迷子になるのは自然なことですよね。それは失敗とは感じない。でも、アメリカという未知の環境に足を踏み入れたのに『転んだらどうしよう』とか思ってしまっていた。だから自分の枠の中から出られなかった。どんどん自分がいったことのない場所にいってみたい。物理的にではなく、境地みたいなものですかね」。昨年米ツアーで苦しみながら、スポット参戦した国内ツアー7戦で2勝。確かな手応えが、晴れやかな表情にじんだ。