悔しさがあふれた。日本男子初のメジャー制覇を狙った松山英樹(24=LEXUS)は4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの73で回り、通算イーブンパー、288で7位となった。

 昨年5位に続き、マスターズ2年連続のトップ10入りは日本人初。マスターズ2度のトップ10入りは中嶋常幸(86年8位、91年10位)に並び、日本人最多タイとなった。それでも、本気で優勝を目指していた男には関係ない。「悔しいですね」。短い言葉に気持ちを込めた。

 崩れた前半から立て直して迎えた13番パー5の第2打。トップに入ろうかという瞬間、後方から届いた大音量にスイングをやめた。自分より後ろを回っているのは首位ジョーダン・スピース(米国)がいる最終組だけ。「ジョーダンが(12番で)池に落としたんだろうなっていうのは分かりました」。追いつくチャンスが生まれたことを理解し、冷静に仕切り直して放った一打で2メートルにつけた。しかし、この絶好のイーグルチャンスを決めきれなかった。その後も、バーディーパットはことごとくカップをかすめ続けた。

 硬く速いグリーンと強風に耐え、最終日の優勝争いを迎えた。これまでのメジャーで最も頂点に近づいた実感がある分、ミスで可能性を手放したことが許せない。まずは序盤でチャンスにつけられなかったショット。「ミスは絶対出ると思うけど、それにしても多すぎる。ショートアイアンでミスしたり、自分が予想している感じではなかった。フェアウエーから、何回も何回もグリーン外してるようじゃ話にならないなと、最後は自分に若干あきれていました」と切り捨てる。

 予選ラウンドでさえ渡ったパットも、決勝ラウンドでは苦しんだ。「これだけ速いグリーンに対応するためには、もっとパッティングの技術を上げないといけない。昨日の15番くらいからおかしくなったものを修正しきる力がなかったのも事実」と課題を口にした。

 「調子のいい悪いもあると思うんですけど、自分が目指しているところにもっていければ、すごくチャンスは増えるのかなと思う。自分がこういうプレーをしていれば、日本の男子ツアーの見方も変わってくると思うし、もっともっと優勝争いをして、僕はあまり日本ツアーに出ていないですけど、いいニュースを届けられるように頑張りたいなと思います」。メジャー制覇の夢が、そう遠くないことを証明した4日間。優勝を争った者しか味わえない悔しさを糧に、松山英樹はもっともっと強くなる。