池田勇太(30=日清食品)が7バーディー、1ボギーの65で回り、通算13アンダー271で3位から逆転で今季初優勝を飾った。オフはこれまでにないほどトレーニングで追い込み、ウエアやクラブを一新。ツアー通算14勝目でニュースタイルの第1歩を刻んだ。シーズンでは自身最速となる4月の優勝。例年にないロケットスタートで、目標とする「年間最多勝での賞金王」へ突き進む。

 14年日本オープンを制した思い出深いコースで、新生・池田勇太の1勝目を刻んだ。「ここでまた優勝できて、すごい縁だと思う。やっぱり、千葉県人が勝たないといけないな、と」。地元千葉では都道府県別最多4勝目。今大会使用したロッカーは「チャンピオンロッカー」として、池田専用となることが決まった。

 前半は「自分でもビックリするぐらい」というバーディーラッシュ。2番はグリーン右ラフから10ヤードをチップイン。最も難しい517ヤードのパー4では、この日唯一のバーディーだった。その後も好調なアイアンショットで圧巻のハーフ「29」。勝利をたぐり寄せた。

 20日にドライバーを替えた。1度は違うメーカーでまとまりかけていたが、大会開幕前日としては異例の量を打ち込み、決断した。ドライバーを替えれば他のウッド系の調整も必須となるが、いとわなかった。それらを操る自らの技術向上にも妥協はない。オフはトレーニングのため飲酒を控える時もあった。アイアンショットは“世界基準”を追求。世界ランク3位のマキロイ(英国)のように、フィニッシュで左膝を突っ張って伸び上がるような動きを加えることで、高弾道と飛距離アップをもくろむ。

 契約フリーとなったクラブ、3タックからノータックにしたパンツ、角刈りをやめた頭髪…。30歳にして、あらゆる変化を「苦労はあるけど、今までの自分にはないものだから」と楽しんですらいる。これまでは最も早く勝って6月だった。幸先のいいスタートに自信はみなぎり、口も滑らかになる。「これから楽しませますよ。約束しますよ。取りあえず、次は15勝。16って数字はあまり好きじゃないから、17勝に向けて頑張ろうかな」。悲願の賞金王に3度目の年間最多勝、8月にはリオデジャネイロ五輪もある。目標は全部だ。【亀山泰宏】