3月から日本ゴルフツアー機構(JGTO)会長を務める青木功が、73歳7カ月28日で1年ぶりのツアー出場を果たし、75年に故宮本留吉が73歳21日でマークしたツアー史上最年長出場記録を更新した。右足を痛めて9ホールで無念の途中棄権となったが、1年後のリベンジにも意欲を見せた。尾崎将司(69=セブンドリーマーズ)は最終18番まで自身2度目のエージシュートの可能性を残すなど、4バーディー、4ボギーの70をマーク。大会最多5勝で並ぶ“AO”が、話題を振りまいた。稲森佑貴が6アンダーで単独首位に立った。

 快挙達成にも青木はプライドをにじませた。「記録といっても、途中でやめてるから価値はない。ぶざまな姿を見せて、悔しいね。喜べない」と首を振った。

 1番はグリーン右手前から得意のバンカーショットでピンそば30センチにつけてパーを拾った。しかし、3番から4連続ボギーをたたくと、8番で5オン2パットのトリプルボギー。前日27日、右足小指の付け根付近にあるうおのめ状となった皮膚を病院で切除。痛み止めを飲んでのプレーだったが、右足を引きずるなど影響を隠せず「この痛みはどうしようもない」と、うなだれた。「できる限り挑戦する。けがを治して、来年もう1度立ち向かいたい」。JGTO会長となっても飽くなき現役への情熱を燃やす一方、大会から贈呈された金一封は熊本地震の被災地に義援金として送る。

 青木不在となったコースを沸かせたのが尾崎将。18番は2・5メートルのパーパットがあと数センチ届かず、年齢以下のスコアで回るエージシュートには1打及ばなかったものの、後半だけで4バーディー。今季初戦となった東建ホームメイト・カップは第2日スタート前に左肩痛で棄権。翌週も体調不良で欠場を余儀なくされ「(オフの)4カ月間、自分なりに体を作ってきたつもりだった。ショックを隠しきれなかった」と話す。

 それでも「ゴムトレを中心にやってきた」という今大会開幕前は「10年ぶりくらいの(手応えがある)ティーショットが打てるようになって、自分でも可能性を感じていた」。第1日にエージシュートを決めた13年つるやオープン以来の予選通過も狙える位置につけ「和合は年寄りの足腰に優しいんだ」とニヤリ。青木の棄権を聞くと、ひときわ声を張り上げ「やめたの? どんなことがあってもやめないと言っていたのに、あの男もうそばっかり言って。うそつきと言っておけよ」と笑わせた。

 1年ぶりのツアー共演で、レジェンド2人が変わらぬ存在感を見せつけた。【亀山泰宏】

 ◆ゴルフのツアー年長出場 これまで国内男子の最年長は75年に故宮本留吉が日本プロ選手権で記録した73歳21日で、この日青木がこれを更新した。このほか故杉原輝雄が10年のミズノよみうりに73歳10日で出場。米男子ではジェリー・バーバーの77歳10カ月(94年)が最年長。国内女子の最年長はダイキン・オーキッド・レディースで森口祐子がマークした58歳328日。

 ◆中日クラウンズ 1960年創設の日本最古のスポンサー大会。第1回大会の優勝は故中村寅吉。青木、尾崎将がともに大会最多の5度優勝。そのほかバレステロス、ノーマン、ラブら世界のスターが優勝者に顔をそろえる。