福嶋浩子(38=フリー)が5アンダー67で首位発進した。調整を施したショートアイアンを味方に、前夜からの雨で硬さが軽減されたグリーンでバーディーを量産。一時はツアープロを諦めかけたが、最近は偉大な姉晃子(42)とゴルフの悩みを分かち合えるまでになった。「1度でいいから優勝したい」と意欲を見せる。1打差2位には鈴木愛(21)がつけた。

 福嶋浩はホールアウトすると「出来すぎです」と柔和な笑顔を見せた。姉晃子と練習ラウンドした時はグリーンが硬く「3オーバーならOK。2アンダーなら神だね」とその難度を警戒していた。それが9番アイアンでピンに絡めてバーディーを奪うこと4回。前週に調整したショートアイアンがさえ、湿って止まるグリーンを果敢に攻めた。

 ツアーで戦っているが、ティーチングプロの資格も併せ持つ。10年間長尺パターを使い続け、今年からのアンカリング(体の一部につけて支点とする)禁止を受けて、昨年は「ティーチング中心になるのかな」と思ったことも。それでも体につけないストローク方法を見いだし、同じ長尺派でマスターズで活躍したランガーを見て「励みにしています」。

 2週前のスタジオアリス女子の時に「初めて姉とゴルフの話をたくさんしました」。姉は米ツアー2勝、日本24勝、賞金女王2度で「雲の上の存在」。姉妹としては仲良しでも、ゴルフの悩みが違いすぎて本格的な話はしてこなかった。姉がマッサージを受ける横で2時間、「今だから言えるけど」という元女王の昔話も聞いた。

 同時に「今年になって、優勝したいという気持ちが芽生えてきた」と言う。語学学校に通うなど2年かけて米国のサンディエゴ州立大に入るなど、自称「遅咲き」だ。まだ自分の未熟さも認めながら「間違ってでもいいから、1度でもいいから、優勝したい。38歳にして初めて思った」と明かす。その思いがある限り、戦い続ける。【岡田美奈】