昨季賞金王の金庚泰(29=韓国)が、ツアー通算12勝目となる今季2勝目を挙げた。2打差の2位から5バーディー、2ボギーの67で回り、通算10アンダー、270で片岡大育(だいすけ、27=Kochi黒潮CC)と並んでプレーオフに突入。

 1ホール目でともにパーオンを逃したが、金が2メートルのパーパットを沈めた後、片岡が1メートルを外して勝敗が決した。

 しかし、優勝会見では複雑そうな表情を浮かべた。「もちろん勝ちたい試合だったけど、まだ、あんまりいい気分じゃない。(片岡)大育はホントにいい人で、彼を嫌いな人はいないから」。負けを覚悟していたという。片岡が15、16番で連続バーディーを奪って2打差をつけられていた。特に15番はグリーン奥のラフから完璧なチップインバーディーを見せつけられ「うまかった。『あそこからは寄らない、絶対ボギーだ』と思っていたから、今日は僕の日じゃない、勝てないと思った」と振り返る。

 それだけに、17番のダブルボギーで優勝を逃す形となった相手を気遣う。「僕もプレーオフで負けたことがあるし、残り数ホールから2打差、3打差を逆転されたことがある。気持ちは分かります」。そして、エールを送った。「本人が一番苦しいと思う。でも、そういう悪いイメージは早く忘れた方がいいと言う人もいるけど、僕はそれを忘れちゃダメだと思う。どんな気持ちで打って、どんな球が出たのか…。そういう(苦しい)時間を大事にしないと」。

 自身は09年に韓国ツアーを含めて6度の2位を経験。悔しさを糧に、翌10年に日本ツアーで賞金王に輝いている。「大育のことが大好きだから、頑張ってほしい」。流ちょうな日本語で熱く語った。