プロ3年目の堀琴音(20=東芝)が首位と5打差3位で予選通過した。10位から出て5バーディー、1ボギーの68で通算7アンダーとした。ピンクのシャフトのアイアンを、シルバーのものに替えてショットが急上昇。今大会開催コースが兵庫・滝川二高時代から14年まで練習拠点だった“ご当地プロ”が、ツアー初優勝にチャージをかけた。

 気温が控えめで快適だった午前組で、堀がすいすいスコアを伸ばした。前半15番パー4で124ヤードの第2打を1・5メートルにつけるなど、奪った5バーディーは4メートル以内のパットを決めたもの。ショットでまとめた68で3位に浮上した。

 ツアーを休んだ前週、シャフトがピンクのアイアンを、シルバーのものに替えた。「昨秋まで使っていたやつで、今はスペアクラブ。『ちょっと打ってみようかな』と試したら、めちゃくちゃ良くて」。ヘッド形状などスペックは全く同じで、シャフトの色が違うだけ。「…う~ん、何が違うんだろ? う~ん…」と本人も首をひねる。

 同じツアープロで通算2勝を挙げる、生真面目な姉奈津佳(23)とキャラクターは対照的だ。14年プロテスト合格の同期生、永峰と練習ラウンド中に「ねえ、ドライバーの調子が悪いの、教えて!」と急にお願いして、たじたじにさせたりする。人懐っこい“天然キャラ”には、ショット上昇の理由も思いつきだけで十分なのかもしれない。

 首位とは5打差。巡ってきたツアー初優勝のチャンスを後押しする材料もある。開催コースの六甲国際GCは14年秋まで3年半、練習拠点だった。さらに今週の帯同キャディー大溝雅教氏(50)は昨年、同GC開催だった日本オープンで小平智の優勝をサポートした。「大溝さんはとっても人柄が良くて、毎ホール、笑わせてくれるんです」。勝手知ったるコースで、気持ち良くプレーする。残り2日。堀が心掛けるのは、それだけだ。【加藤裕一】

 ◆堀琴音(ほり・ことね)1996年(平8)3月3日、徳島市生まれ。12、13年ナショナルチームメンバー。14年のABCレディースで下部ツアー史上2人目のアマチュアV。直後のプロテストに合格。昨年2930万5142円を稼ぎ、賞金ランク33位で初シードを決め、日本女子プロゴルフ協会新人賞獲得。162センチ、53キロ。