アン・ソンジュ(28=モスバーガー、韓国)が逆転で今季初優勝&大会2連覇を飾った。ツアー通算21勝目。2打差の3位から5バーディー、ノーボギーの67で回り、通算9アンダー、207でともに最終組で回った木戸愛(26=ゼンリン)と菊地絵理香(28=オンワードホールディングス)に競り勝った。

 「好きなコース、好きな大会で連覇できたのは幸せです。ホントにうれしいです」と声を弾ませたが「自分が優勝できるとは思わなかった」が本音だった。今季は4月のフジサンケイ・レディースこそ優勝争いを演じたものの、首や肩の痛みに悩まされていた。それ以上に深刻だったのが「心の部分」。モチベーションを維持できず「つらくてやめたかった」と打ち明けた。

 途中棄権した6月のサントリー・レディースを最後に1度ゴルフから離れた。「3週間くらい韓国に戻りました。体の治療をしながら、食べたいものを食べて、ドライブして、犬と遊んで…」。練習どころか、クラブを見ることもなかったという。「トラベルバックに入れたままでしたからね(笑い)。練習したくなるまでは見ないでおこうと思った」。

 復帰戦は7月の全米女子オープン。「ほとんど練習もしていないのに、いきなりアメリカのメジャーはきついですよ(笑い)。風は強いし、グリーンも硬いし、周りのラフも難しいし…」。結果は通算5オーバーの46位だった。「でも」と続ける。「目標だった予選通過もできたし、今まで一番楽しい全米女子オープンだった」。だから、今はゴルフを離れた3週間を「いいリフレッシュだった」と言い切れる。

 最終18番のグリーン上。通算8アンダーで並ぶ木戸と菊地はパー以下が確定し、アンが1メートルのバーディーパットを決めれば優勝という状況だった。ウイニングパットは“お先”しないのが通例。キャディーを務める夫のキム・ソンホさんが「待った方がいいんじゃない?」と声をかけると、アンは「待ちたくない」と笑って首を振った。「今年はスライスのパットがうまくいってなかったし、(1メートルでも)自分には、すごくプレッシャーを感じる距離だったんです」。きっちり沈めて勝ちきった一昨年の賞金女王は「今はゴルフが楽しいです」と満面の笑みで言った。