プロ5年目の時松隆光(りゅうこう、22=筑紫ケ丘GC)が、通算25アンダー263のトーナメント新記録でツアー初優勝を果たした。2位に5打差の首位から出て、5バーディー、1ボギーの68で逃げ切った。下部ツアー優勝の資格で出場し、ツアー優勝まで上り詰めた“下克上”は史上初。わずか1カ月足らずで大きく人生が変わった。

 1メートル弱のウイニングパットを沈め、待望のツアー初優勝を決めても、時松はガッツポーズをしなかった。「コースと友達になりなさい。ガッツポーズとかしてコースに逆らってはいけない」が、篠塚武久コーチの教えだったという。

 「今日は長かった」。5打という大差が逆に重圧だった。6番の第1打は右に曲げて暫定球を打った。7番は第2打が左OB間際へ。8番は3メートルのパーパットを残す。そのピンチの連続をすべてパーにおさめたのが「大きかった」。後半33の流れを呼び込んだ。

 7月になってすべてが好循環した。1日に下部ツアーで優勝し「自信がついた」。翌週の日本プロでは予選ラウンドで元賞金王の伊沢利光と同組になり、スイングの勉強になった上、「マネジメントができている」などとほめられ、「間違ってなかった」と確信を得ての今大会だった。

 12年に登録名を本名「源蔵」から、お寺にもらった「隆光」に替えた。だが、ホテルや航空券の手続きなどで不便なことが重なり、元に戻そうと考えていた。それがこの勝利で「隆光」の名が広まることは確実。「戻したらギャラリーの方々に迷惑がかかるかも。もう1度考えます」と、うれしい悩みも生まれた。【岡田美奈】

 ◆時松隆光(ときまつ・りゅうこう)1993年(平5)9月7日、福岡県生まれ。5歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高に進み11年九州アマ優勝。12年プロ転向。最高位は13年関西オープン5位。15年賞金ランク115位。ベースボールグリップでプレー。168センチ、75キロ。