昨季賞金女王のイ・ボミ(27=韓国)が5週ぶりに日本ツアーへ戻ってきた。5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの70で回り、2アンダーで8位。ツアー歴代1位に並ぶ16戦連続トップ10入り、単独2位以上で達成となるツアー史上最速の年間獲得賞金1億円突破(出場13試合目)など多くの記録がかかる一戦で上々のスタートを切った。

 スタート直後のイ・ボミは良くなかった。3番パー5で4オン3パットのダブルボギー。4番のティーショットでは、3番ウッドで少しでも飛距離を稼ごうという清水キャディーの提案に対し「バンカーが怖い」と5番ウッドを握った。もともと心配性だが、いつも以上に短い番手でリスクを冒さない選択が目立った。

 逆転でのリオ五輪出場を狙った全米女子オープンは食あたりによる体調不良もあって予選落ち。2週前、3年ぶりに参戦した韓国ツアーは26位。「自信をなくしてしまったし、記録の重圧もあった」と話す。しかし、清水氏の言葉で目が覚めた。「そんなに逃げていたら、ゴルフが難しくなるよ」。5番でバーディーを奪い、攻撃的な姿勢を取り戻した。

 韓国で「日本ツアーのイ・ボミ」を実感する瞬間があった。ゴルフ専門チャンネルで日本ツアーが放送されていることもあり、ギャラリーや他選手から「ボミチャン」と呼ばれるほど、日本で定着した愛称が浸透。韓国語のテレビインタビューに「やっぱり…」と当然のように日本語で話し始めてしまうこともあった。

 「自分でもビックリしました。でも、日本に帰ってくると、集中しやすい感じがしますね」と笑う。韓国ツアーの永久シードが得られる通算20勝まで、あと3勝。18勝目へ、まずまずの滑りだしだ。【亀山泰宏】