確かにうれしいけど、手放しで喜ぶのは悔しいし…。00年大会優勝のベテラン谷口徹(48=フリー)は、5バーディー、2ボギーの69に軽く毒を吐きながら、笑顔を見せた。

 「先週、小平君にちびっと上から目線でアドバイスをもらいましてね。それで自分で少し考えて」

 前週のブリヂストンオープンは、優勝した小平智(27)と予選2日間、同組で回った。もともとドライバー巧者で知られる後輩だが、優勝したのだから当然ショットはキレまくり。曲がる気配は全くなかった。思わず「オレ、オマエのショットがあったら、1日10アンダーは出しとるぞ」と“口撃”すると「僕、先輩のショットだったら、ハーフで43はたたいてますよ」とあっさり反撃されたという。

 結局、谷口が選んだのは、小平をお手本にすること。フェースのターンを抑えめにして、打球方向の精度を高める後輩を見て「ローテーション(ヘッドの返り)を減らすようにしました。そしたら、ショットが安定してきました」。

 兵庫開催の今大会では、関西出身の谷口は毎年、薗田、永野、そして小平の3人に夕食をごちそうし、もてなしている。今回は神戸市内で鴨鍋を振る舞った。「小平が言いよるんですわ。『じゃあ、僕、谷口さんの師匠ですね』と。ほんま調子にのっとる…」。毒舌を全開にしつつも、ベテランはどこかうれしそうだった。