松山英樹(24=LEXUS)と石川遼(25=CASIO)の日本は4バーディー、3ボギーの71で回り、通算7アンダーの209で4位となった。1つのボールを交互に打つフォアサム方式で、第1日から打つ順番を変更。リスク覚悟で松山のアイアンショットと石川のパットを最大限に生かす作戦を取り、しぶとくスコアを伸ばした。首位デンマークとは7打差だが、ビッグスコアが望める最終日に大逆転優勝を狙う。

 第1日で奇数ホールを松山、偶数ホールを石川が担当した第1打の順番を入れ替えた。奇数ホールはパー3の15番以外はパー4。グリーンを狙う第2打を松山に託した。さらに3つのパー5は全て偶数ホール。石川がドライバーに不安を抱える中で、安定感のある松山に距離を稼ぎたいロングホールの第1打を任せた。

 前日の食事中に作戦会議が行われた。石川は「言い出しっぺは僕です」と振り返る。「英樹のアイアンがグリーンをヒットする確率が非常に高い。このフォーマットだと(奇数の第2打は)アイアンでピンを狙うのが多い」。すんなりとはいかなかった。松山は「オレは反対でした」と苦笑交じりに話す。直近4戦3勝という強さを支えたパットの調子が、今大会は極めて良くないと感じていた。グリーンを狙う第2打を担当すれば、石川のバーディートライが外れた時にパーパットを打つことになる。「今週の状態で、オレにパーパットを打たせるのは危険だと思う」。どちらもお互いを考えての意見だった。

 最後はそろって腹をくくった。石川は「追いかける立場。英樹のアイアンと自分のパットにかけてやるしかない」。松山も「わがままばっかり言ってても仕方ない。自分がパットを修正すればいいだけの話だし、自分のアイアンショットを信頼してくれている。それが、チームが上にいくための作戦」と覚悟を決めた。5番は松山が残り60ヤードの第2打を1・5メートルに寄せてバーディー。6番パー3(187ヤード)は松山が第1打を8番アイアンでピンそば5メートルに運び、石川がねじ込んだ。13番も松山が第2打を2メートルのチャンスにつけて奪ったバーディーだった。

 松山が「初日もこういう形でやった方が良かったかなという感じはあった」と話したように、作戦は一定の効果を発揮。最終日はデンマークが第2日に60を出したフォアボール方式。2人のうちホールごとに良い方のスコアを採用するため、大逆転を諦めていない。松山は「ちょっと厳しい数字ではありますけど、明日2人がかみ合えば、全然可能性はある」。その証拠にホールアウト直後、コンビが交わした言葉は「明日は50台で回ろう」だった。【亀山泰宏】

 ◆W杯試合形式 28の国と地域から56選手が出場。第1日、第3日は1つのボールを交互に打つフォアサム、第2日と最終日はそれぞれが1つのボールをプレーし、いいスコアを採用するフォアボールで競われる。