賞金ランク1位池田勇太(30=日清食品)は気遣いのできる男だった! 東北福祉大時代の2学年先輩、正岡竜二(33=グランデュール)と最終組でラウンド。自身は7バーディー、2ボギーの通算13アンダー203で首位をキープ。同時に言葉や態度でうまく先輩の力を引き出し、正岡を5バーディー、ノーボギーの12アンダー2位に導いた。今日27日の最終日は先輩との優勝争いを心から楽しむつもりだ。

 トップ選手として風格たっぷりの池田が、この日はコース上で必要以上に気を使った。同組の正岡は普段から練習をともにする仲。その上、現在賞金ランク88位で、今大会次第で第2シード(義務試合数を満たしていない選手を除く、賞金ランク61~75番目)を飛び越え、試合数の多い第1シード入りの可能性もある。何とかしたいと自分のこと以上に頭を使った。

 正岡と2人で会見に臨んだ池田は「気楽にやらせすぎちゃダメだし、緊張感を持たせすぎてもダメ。どうすればやりやすいか、ずっと考えていた。それがスコアにつながるよう、コントロールできれば良いなと思いながらやっていた」と明かした。会話をするタイミングや量を場面ごとに調整。集中させるべき時には口を閉じた。もちろん自分のプレーでも引っ張った。「(正岡を)すごく見ながらやってましたね」と話すと、隣にいた正岡が「だいぶ迷惑かけましたね」と報道陣を笑わせた。

 池田自身の状態は必ずしも思わしくない。朝から肩と腕が張った状態。5番の2打目を右バンカーに打ち込んだ際には、ボールがへりに近く、砂地に足を入れて打てなかった。芝の上から足をがに股にし、腕を伸ばしてボールを打ったが「(股関節が)すごい音がして。少しゆがんでしまった。そこからショットも思うように打ててない」。5、6番でボギー。だが、その後5バーディーを奪って立て直したのはさすがだ。

 最終日は「万全の態勢で竜二さんと優勝争いをしたい」と意気込む。だが「(正岡に)変にハッパを掛ける必要はない。来年のために崩れられない。それはすごい重圧だと思う。(正岡の)やりやすいやり方でやるのが一番」。最後まで先輩を思いやった。【千葉修宏】