谷原秀人(38=国際スポーツ振興協会)が1イーグル、3バーディー、ノーボギーの65で回り、5アンダーで首位発進した。豊富な練習量に裏打ちされた安定感抜群のショットで、優勝が絶対条件の逆転賞金王に向けて最高のスタートを切った。賞金ランクトップの池田勇太(30)は2アンダーの7位。武藤俊憲(38)が谷原と並んでトップに立っている。

 谷原が第1関門を突破した。「初日にオーバーパーを打ったら取り返せない。絶対にアンダーパーで回りたかった」。序盤はパットが決まらず「今日はたぶん入んねーな」と心は折れかけたが、その分は「全くストレスがなかった」というショットで補った。6番パー5で残り255ヤードから3番ウッドで2オンに成功してイーグルを奪取。後半も14番で残り115ヤードの第2打をピンそば20センチにつけるなど、スコアを伸ばした。

 目標を上回る首位スタート。「自分でもすごいなと思います」とおどけたが、それだけの積み重ねをしてきた。今季3勝目を挙げた1カ月前の平和PGM選手権。トップに立ってもショットの感触に納得がいかず、ドライビングレンジで最後の1人になるまで打ちまくった。コーススタッフが「これ以上(日が暮れて)暗くなってしまうと、ボールが拾えなくなってしまうので…」と切り出すまで、居残りは続いた。「練習がメンタルを強くする」の持論通り、賞金王を争う池田との最終組対決にも「緊張は全くなかった」と笑ってみせた。

 予選落ちした三井住友VISA太平洋マスターズの第1ラウンド後の練習できっかけをつかみ「あとはパットが入れば鬼に金棒」と言える状態まで仕上がってきた。前週はピン型にスイッチしたパターも、今週は日本ツアー屈指の名手として長年愛用してきたマレット型のエースパターを再投入。4日間トータルで高速グリーン攻略を目指す。

 ツアー最終戦で逆転賞金王なら、00年片山晋呉以来となる。バッグを担ぐ石井恵可氏がキャディー間で選ばれる「キャディー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたばかり。「優勝しても(池田)勇太が2位なら無理。ベストを尽くして今年1年を終われたら」。自称“諦めの悪い男”は、虎視眈々(たんたん)と頂点の座を狙っている。【亀山泰宏】

 ◆谷原の逆転賞金王の条件 谷原自身が優勝し、池田が2位タイ(4人以上)もしくは3位タイ以下。