かつての賞金女王が号泣した。森田理香子(26=リコー)は3オーバーの75とスコアを伸ばせず、通算9オーバー297の79位に沈んだ。例年実績を踏まえ、40位以内に入ると来季ツアーのほぼ全試合に出場できる見込みだが、遠く及ばず、涙をこらえきれなかった。

 1ホールの失敗が大きく影響した。インからスタートし、迎えた後半の5番(181ヤード、パー3)。「ショットがすごい右に行っちゃって。そこから変なライで打って(グリーンの上を)行ったり来たり。その後、2パットです」。前半はイーブンでしのいだが、このトリプルボギーで一気にスコアを崩した。

 通算9オーバー。終了後、報道陣に囲まれると涙があふれ出た。「なんか、みんなの顔を見ると泣きそうになるんですけど。ちょっと待ってくださいね。泣きたくないんですけど、めっちゃ涙でてくる」と言うと、約1分間、ハンカチで目と鼻をぬぐい続けた。

 13年に賞金女王となってからわずか3年。異例の早さでツアー出場権を失った。昨季終盤、アプローチに悩んでいると、ドライバーやアイアン、パットなどすべてで異変が起きた。今季も改善されず33戦で18度の予選落ち。小技のうまさを示すとされるリカバリー率は今季90人中89位(50%)。パーオン率は19位(67・8295%)ながら、平均ストローク(73・4324)、平均パット数(1・8561)、パーセーブ率(79・7158%)が軒並み65位以下と安定性を欠く。

 ただ来季ツアー出場権を失っても主催者推薦8試合に加え、日本女子プロ、日本女子オープンの選考会を通過すれば最大10試合には出られる。下部ツアーのステップアップツアーでも好成績を残せば、さらに出場数は増える。

 「来年からすごく楽しみという気持ちもあるんです。ショットだったり、アプローチ、パットに直すところがたくさんある。伸びしろがたくさんあるから、まだまだこれからも強くなれる」と森田。気丈に涙をぬぐうと「この結果をしっかり受け入れて、明日から練習したい。必ずまた1番に戻れるって思ってます」と前を向いた。【千葉修宏】

 ◆予選会(クオリファイング・トーナメント=QT) 翌年のツアー出場権を決める大会。1次から最終までの4段階あり、それぞれの上位者が次の段階へ進む。ツアーのシード権保持者で、翌年の賞金シードが獲得できなかった選手は、最終QTから出場できる。15年の最終QTで上位40人に入った選手は16年のツアーでは35試合中30試合に、上位35人は33試合に出場した。

 ◆元賞金女王が翌年の賞金シードを失った例 森田以外に過去に4度ある▽99年=吉川なよ子(88年女王)▽00年=高村博美(90年女王)▽05年=塩谷育代(92年、95年女王)▽09年=服部道子(98年女王)。このうち02年から始まった予選会を受験したのが塩谷と服部。塩谷は予選会で21位となり、翌06年もツアーに出場。服部は53位で翌10年は1試合もプレーしなかった。